こんにちは。
小児科医というのはもちろん子どもと接するのが好きな人間がやっているのですが、診察では泣き叫ばれることが多くて(だいたい1/2位の確率)、因果な職業でもあります。
子どもを診察する前に、ちょっと探りを入れます。
私はいつも、子どもを診察する前に「おはよう、こんばんは」といった挨拶をしたり、今日あったことを聞いたり、もっているおもちゃのことを聞いたりします。
激しく泣いていた子が、おもちゃの電車について聞くだけで、滔々と持論を述べだしたりします(聞き取れないけど)。
診察中にごはんのことを聞いたりすることがありますが、その場合は大抵「カレーが好きかハンバーグが好きか」を聞きます。
怖がっている子には、最初は目を合わさず声もかけず、保護者さんとおはなししている間に横目で観察したりします。
逆に、病状についてお話をしながら並行して服を上げてお腹を出したりすると、その時点で子どもは泣いてしまったりするので、診察に入るタイミングは重要です。
怖いだろうけど、できれば「診察することに同意」してほしい
病気で来ていただいているのですから、早く診察に入りたい気持ちはあるのですが、そのためには、どんなに小さな子でも、「診察に同意」していただいたほうが、ずっとよくその子のことを観察できるのです。
ちょっと大げさなことを言えば、これも「ラポール」、すなわち、警戒心を緩和して患者さんとの間にちょっとした信頼関係を築くための工夫、と言えなくもないと思っています。
もちろん、警戒心が強くて泣き叫んだまま診察を終えることも多々あるわけですが、泣き止んでくれたら診察がとてもやりやすくなるので、一度は試みるようにしています。
お行儀は悪いかもしれないけど
また、待合室で絵本を読んでいたのなら、それを持ったままで診察室に入ってきていただいたほうが良いと思っていますし、ポータブルDVDを見ながら待っていていただいたときは、それを続けたままで診察に入ることがあります。
お行儀が悪いかもしれませんが、そのほうが診察がうまくいくことが多いので、そうさせていただいています。
私が、保護者さんのお話を聞きながら子どもにちょっかいを出していると、怪訝に思われるかもしれませんが、
診察前にこのようなちょっとしたコミュニケーションを挟んだり、診察を終えた子どもに声をかけて、無事終わったことをねぎらったりするのは、意味としてはそのようなことがあります。
一番は単に子どもとコミュニケーションをとるのが好きだからなんですけどね。