こんばんは
手足口病やアデノウィルスなどの夏風邪が一段落して、小児科はオフシーズンですが、このところRSウィルス感染症のお子さんが何人か来院されています。
これは7月最終週のデータですが、山城北地域で7人の患者さんが報告されていたようですね(全数報告ではありません)。
(画像は 京都府感染症情報センター|RSウイルス感染症 より。2017/8/6)
秋〜冬〜春に流行するウィルスなのですが、検査キットが普及した現在、こうして夏の間にもパラパラと患者さんを経験するようになってきました。毎年のことですが、これから秋にかけて増えてゆくのだと思います。
RSウィルスは、年長児や大人にとってはカゼのウィルスのひとつなのですが、乳幼児が感染すると分泌物が多くなりやすく、また喘息のようなゼイゼイ、ゼロゼロを引き起こしやすいです。酸素吸入が必要となったり、肺炎を引き起こしたりして、入院が必要となることも多々あります。
といっても、実は非常にありふれたウィルスで、乳児のうち半分は生後1年以内、ほぼ全員が2歳までに感染すると言われています。風邪症状があっても軽症で済んでいれば、わざわざ検査をして見つける必要はありません。診察させていただいてRSウィルスが疑われた時、何か重症になりそうなサインやハイリスク要因があれば、検査をおすすめしています(ただし保険適応なのは0歳児だけなので、それも難しいところです)。
RSウィルスの感染予防
RSウィルスにかぎらず一般的な風邪の予防策として、手を洗う習慣のほか、マスクをさせたりなどありますが、小さな子どもには難しいものがあります。
- 風邪症状の子がいるときは兄弟と過ごす部屋を分ける
- 親が頻繁に手を洗う、アルコール消毒をする
- ティッシュをすぐに捨てる
- テーブルを雑巾で拭く
というだけでも効果はあると思います。ただ、乳幼児の保育施設などでの流行を防ぐことはどうしても難しいと思います。
RSウィルスの治療について
RSウィルスの増殖を直接抑える薬はありません。痰を切りやすくサラサラにする薬、腫れて狭くなった気管を拡げる薬、気道のアレルギー性炎症を抑える薬、などを用います。食塩水や気管を拡げる薬を吸入で使うこともあります。また、入院した場合は、酸素投与の他、ケースバイケースで喘息に準じてステロイドの点滴が行われるケースもあると思います。
RSウィルスの予防のための注射(ワクチンではありません)
生後半年以内のRSウィルスは重症化しやすく、とくに35週以前の早産、先天性心疾患、染色体異常のある乳児はハイリスクです。
重症化を防ぐための注射(ワクチンではありません)がありますが、保険が適応される対象者はちょっと複雑です。こうしたハイリスク要因のある方は最初から病院で把握され、対象者はすでに指導を受けておられると思います。かかりつけの病院の判断・指示に従って下さい。
注射の効果はだいたい1ヶ月、RSウィルスの流行期間、各病院によってちがいますが10月〜3月の間を目安に、毎月1回病院に行って注射をします(当クリニックでは扱っておりません)。
筋肉注射ですので大腿部に垂直に注射します。身体が大きくなってくると両足に注射、さらに折角病院にきてますから予防接種を複数本同じ日に注射することもあり、子どもにとっても大変な一日となりますが、RSウィルス重症化時の危険さを考えると、対象者は必ず注射していただきたいと思います。