こんにちは
インフルエンザ大流行ですね。インフルエンザの迅速検査は鼻の痛みや不快感が強く、いつも申し訳ないなあと思いつつも無心に行っております。
鼻汁が十分出せる子の場合は、鼻汁で検査することも可能です(状況によります)。
インフルエンザ抗原迅速検査の性能は、感度70%、特異度98%くらいです。インフルエンザの人100人のうち、ちゃんと陽性になってくれるのが70人、逆に、インフルエンザではない人100人に検査をすると、2人くらい間違って陽性と言ってしまう、ということです。
さて、インフルエンザ・コロナについて、あまり不快感のない某・検査機器が存在しています。口の中の画像で検査するやつです。
この検査機器の性能を見ると、メーカー公式情報でインフルエンザについては感度76%、特異度88%と表記されています。これはどのくらいの性能でしょうか?
たとえば1200人のうち1000人がインフルエンザ、という結構流行期で検査を行うと、どうなるでしょうか、見てみましょう。
インフルエンザ迅速検査の場合
| 陽性 | 陰性 | ||
|---|---|---|---|
| インフルエンザの人 | 700 | 300 | 感度70% |
| インフルエンザでない人 | 4 | 196 | 特異度98% |
| 検査陽性なら99% インフルエンザ |
検査陰性でも60% インフルエンザ |
某検査機器の場合
| 陽性 | 陰性 | ||
|---|---|---|---|
| インフルエンザの人 | 760 | 240 | 感度76% |
| インフルエンザでない人 | 24 | 176 | 特異度88% |
| 検査陽性なら97% インフルエンザ |
検査陰性でも58% インフルエンザ |
まずまず遜色ないデータですよね。ではこれが1200人のうち200人だけがインフルエンザという状況だとどうでしょうか。
インフルエンザ迅速検査の場合
| 陽性 | 陰性 | ||
|---|---|---|---|
| インフルエンザの人 | 140 | 60 | 感度70% |
| インフルエンザでない人 | 20 | 980 | 特異度98% |
| 検査陽性なら88% インフルエンザ |
検査陰性でも6% インフルエンザ |
某検査機器の場合
| 陽性 | 陰性 | ||
|---|---|---|---|
| インフルエンザの人 | 152 | 48 | 感度76% |
| インフルエンザでない人 | 120 | 880 | 特異度88% |
| 検査陽性なら56% インフルエンザ |
検査陰性でも5% インフルエンザ |
このような結果になります。
インフルエンザの人を正しく診断し、そうでない人を正しく否定できるのが、優れた検査です。そこで、このような検査機器は、性能がちょうどよいバランスになるように設定値を調整します。
例えば見逃しをゼロにしたければ、全部の検査で陽性といえばよいだけですし、間違った陽性を減らしたければ、全部の検査で陰性といえばよいだけです。その間でちょうどよい設定値を探るわけですね。
ただ、上記でみたように、検査機器の性能は、実は背景のセッティングによって変化します。口からの画像検査機器の性能だと、1200人のうち200人だけがインフルエンザの場合、検査して陽性だと言われた人のうち、本当にインフルエンザの人が56%しかいないことになります。検査としてはちょっとどうかと言わざるを得ないですよね。いじわるかもしれませんが、流行の初期ですとこのような状況はありえます。
鼻からの迅速検査の場合、特異度が非常に高い(間違った陽性がほとんど出ない)ために、このような不安が少ないのです。
これは、口からの画像検査機器が、検査の感度を優先し、特異度がやや低い(間違った陽性を許容)ことを許容しているから起きる状態です。
実際、当院ではこの検査機器を使用していないのでわかりませんが、使用している場合にはもっと違ったノウハウがあるでしょう。例えば、
- 見た感じインフルエンザっぽい人にしか使わない
- 流行が大規模な場合にしか使わない
- 陽性になった方にだけ鼻からの検査を実施する
とか、ですね。
ちなみに、当院では遺伝子検査でインフルエンザを検査することも可能で、そちらのほうが性能は高いのですが、、、保険適用がなかなか厳しく、全員には運用できない状況です。