よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです

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コロナウイルスについて、よく聞かれること

こんばんは。

 

コロナウイルス関連については、ブログに書くことを控えていました。

こういう大規模な感染事例が起きた時に、末端の医師が好き好きに発言することは、情報の混乱を招きます。
まあそんな影響力のあるブログではありませんが、ある種のマナーのようなものです。

 

しかし、診療中に情報を求められることもありますし、不安に思っている患者さんは多いようです。

よく聞かれることについてだけ、すこし言及させてください。

(2/27追記しました) 

Q1 怖いの?怖くないの?
A1 めちゃくちゃ怖くはありません。

今までの情報を見る限り、おおむね、インフルエンザウイルスと同等の危険性をもったウイルスです。
ただし、ワクチンや治療薬はありませんから、その分危険度は上でしょう(ワクチン治療薬なしでこの程度なら、あるいは危険度は下と言っていいのか?いずれにしろ、ほぼ同等ということで)。


小児の重症化は少ないようですが、この点はもう少しデータ集積が必要かと思います。

どうしても、どこに感染者が、どこで死者が、といった報道に目を奪われてしまいがちですが、基本的には軽症で済むことが多い疾患です。

 

Q2 病院にはあまり来ないほうがいいのか?
A2 受診するかどうかの判断を変えるほどではないように思います。ただし。

病院には症状のある人が集まってくるのですから、たしかに安全な場所とは言えません。

ただ、今現在もインフルエンザウイルスが流行しておりますし、RSウイルスだ、ヒトメタニューモウイルスだ、などと世の中には多々ウイルスがあり、それで亡くなる方もおられるなかで、コロナウイルスのみ怖がるというのは、公平な見方とは言えないと思います。

 

病院に来るリスクは実際にあるのですが、それは以前からあったもので、物凄く大きくなったというわけではありません。

 

不要な受診は避ける、というのは、今回の流行がなくても当然のことですし、
過剰に恐れて必要な受診が遅れるのも、また問題です。

 

現時点でのコロナウイルスの危険性評価に基づく限り、
これまで通り、症状が軽ければご自宅で安静に過ごすのが良いでしょうし、
症状に不安があれば受診していただくのが、良いのではないかと思います。

 

ただし、コロナウイルスでなくても風邪の場合はすべてそうですが、風邪症状が強ければマスクを着用して受診すること、お子さんでそれを徹底できないときは、病院に伝えて適切な待機方法の指示を得ることが、大切だと思います。

 

Q3 PCR検査ってどうなの?必要なの?
A3 疑いのある方全員に行う、というのは悪手です。

 

説明すると長くなってしまいますが、「コロナ 陽性的中率」で検索すれば、僕よりもずっとわかりやすく説明してくれる方がいらっしゃいます(他力本願)。

↓この記事は良かったと、皆が言っております。 

新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの?  感染管理の専門家に聞きました

よく状態を観察して、対象を限ったうえで検査を行うべきでしょう。

 

 

検査体制が不十分なのではないかとか、オリンピックに向けて患者数を隠したいのではないかとか、いろいろと言われておりますが、

他の検査をストップしてまで、あまり有意義とは言えないコロナウイルスの検査に人員をまわすのは、別の病気で本当に検査が必要な方の不利益になりますし、

希望者全員にPCR検査を行っても、症状は改善しませんし、感染拡大は防げません。逆に、感染拡大を助長したり、無意味な隔離が増える可能性があります(これも「コロナ 陽性的中率」で検索)。検査対象者を絞る(検査を希望するというだけで検査をしてはならない)という態度は、医学的に正しい判断です。

 

これは、インフルエンザにおいても、希望者全員に迅速検査することが危険である理由にも通じます。先日書いた文章でも少し触れました。

インフルエンザの迅速検査をするかどうかの判断って、難しい - よしだこどもクリニックのブログ

 

何れにせよ、PCR検査対象者を絞るのは医学的には妥当で、政治的な思惑が入っての判断ではないと思います。

 

ただ、医師が必要と判断したものについてはきちんと検査していただきたいのですが、そのあたりの仕組みはまだ整っていないところもあるようです(担当者が悪いというより、平時の予算カットが響いているのだとおもいます)。

 

Q4 実際に患者さんは来られるの?
A4 診断された方はいません。

現在は既に、感染者の間のつながりを追えない段階になっています。
海外渡航歴のある方だけがリスクのある状況ではありません。

ですので、実際には感染者がいらっしゃるかもしれません。しかし、確率的にはその可能性は低いと思われます。

 

感染しても8割の方は軽症にとどまるようですし、そもそもそういう方々に検査をするわけにはいきません。

 

現時点でのリスク評価に基づき、感染者に接触する危険性をことさら大きくとらえるのではなく、いつ接触してもよいように、病院ですべき対策を普通に粛々と行いつつ、普段通りの診療を行っています。

 

Q5 TVでこんな話をしていた
A5 (不安になるようでしたら)TVは見ないほうが、、、

TVの論調が極端だったり、恐怖感を演出したり、コメンテーターが意図的に大げさにすることは多々ありますので、こういった正しい知識が必要な案件では、ワイドショーをみることはお勧めしません。

 

散見した情報の中ですと、

岡田晴恵という方が、感情に訴えるような悲観的な見方を発信されておられるようですが、徹底的に検査すべきとか、人の移動を極力制限すべきとか、専門家としての冷静な意見とは思えませんでした。

(人の移動を止めたら経済が急落するので、間接的に苦しむ人が増えます。)

パニック時において極論はある種の人に刺さるので、TVでは引っ張りだこになるのですが、本当の専門家の仕事は、地道に粘ってバランスの取れた最適解を探していくことだと思います。

 

また、以前からこの件に限らず、伊藤隼也という朝のTVにときどき出ているらしい方の発言は、誇大ですが根拠がありません。いろいろ背景があるようです。氏の発言によって不安を感じられた場合は、ぜひ、公式発表であるとか、他の本当の専門家の意見を確認していたけばよいかと思います。

 

基本的には厚生労働省の発表だけを見ていれば必要十分だと思います。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html