こんばんは。
そろそろ、インフルエンザ患者さんが増加傾向となってきています。
毎年のことではありますが、シーズンインにあたり、インフルエンザ診療の原則的なところを書いておきたいと思います。
これは個人の考え方ですので、医師によって判断の異なるところはあろうかと思います。
(1)迅速検査について(この記事)
(2)治療薬について(次の記事)
迅速検査について
インフルエンザの迅速検査は、陽性になった時の信頼度は高いのですが、見逃しが多い点に要注意です。
発熱後24時間というベストタイミングで行っても、インフルエンザ患者の1-2割程度は陰性になってしまいます。
計算上、流行期でインフルエンザ患者さんが多いほど、陰性を信じてはいけない検査になります。
このような事情から、基本スタンスとして以下のようにしております。
周辺状況や症状を考慮し、インフルエンザの可能性が十分に高いと思われる場合は、検査を行わないように提案することがあります。
一見してインフルエンザのように見えたのに、迅速検査をして陰性だった、という時にどうするでしょうか。
間違って陰性がでやすい検査ですから、流行時期であれば、医師の判断のほうを優先してインフルエンザと診断することも多くあります。
となると、検査前からインフルエンザと診断することを決めているほど、症状が典型的なのであれば、わざわざ検査で痛い思いをする必要がない、ということになります。
とくに子どもさんのことですから、迅速検査結果を盲信して判断を誤ったり、不必要な検査で病院が嫌いになったり、といったことは、できるだけ避けたいと思っています。
熱があるから全部検査、ではなく、検査の必要性をその都度検討し、ご相談させていただきます。
(逆に、明らかに検査が有用なケースもあるので、そのようなときは迷わずササッと検査してしまいます。)
陰性であることを確認する検査は行わないようにしています
上記のようなことから、インフルエンザ迅速検査の陰性には、あまり意味がありません。
流行期になるほど、陰性のなかに紛れ込む、本当は陽性であった患者さんの数が多くなります。
症状や熱が微妙で、登校登園の判断に悩む、ということは親の立場からするとよくあるのですが、
こういったときに、検査して陽性だったら休む、陰性だったら登校登園OK、とするのは不適切ということになってしまいます。
インフルエンザ迅速検査の使いどころは、考えれば考えるほど難しいものがあります。