こんばんは。
RSウィルス、これはと思う患者さんに検査をするとやはり陽性の方がいらっしゃいます。軽症の場合に焦ることはありませんが、油断もできません。感冒症状が数日長引いているなと思っていたら、そこから重症になってくることもあります。
さて、ときどき、「こちらではアレルギーの診療をしていますか?」と、質問されることがあります。
当院では、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、鼻炎・結膜炎の診療、管理、投薬をさせていただいております。
ただし、この説明をするときに、同時にお話していることが2つあります。
明らかに重篤なケースで、専門医の診療が望ましいと判断したら、専門医におまかせします
一つ目はこれです。
これは例えばどういう場合かというと、
- 食物アレルギーで、経口チャレンジをするリスクが高いと思われるケース
→ アレルギー専門医の指導が望ましい、入院して経口負荷試験を行ったほうが良い場合があります。
- 重篤なアトピー性皮膚炎のケース
→ 中ランクのステロイドをしっかりと用いても症状がコントロールできない場合は専門家におまかせします。
- 重篤な鼻炎、結膜炎のケース
等々です。
私に限らず、一般外来をしている小児科医の多くは、一通りのアレルギー疾患を一応の守備範囲にしているのではないかと思います。
しかし、アレルギー専門医にご紹介するタイミングを逸しないようにすることは、常に意識しています。アレルギー疾患にかぎらず、重篤な症例は専門家の手を借りつつ複数の目でみることが必要だと思います。
ガイドラインに則って治療を行います。
そして二つ目がこれです。
・・・これも時々ですが、「このクリニックでアレルギーの治療をする場合は、どんな治療法になりますか?」と聞かれたことが何度かありました。
「基本に忠実に」「ガイドラインに則った」治療をしますとお答えするのですが、ちょっとがっかりされたりしまして、そうすると私の方もちょっとがっかりしたりします。そして、ここの部分の私の考えを一言で説明するのが難しい時があります。
「基本」「ガイドラインに則った」というと、マグロで言うと赤身、寿司で言うと並、画一的な治療、というようなイメージがあるかもしれません。誤解される言葉だなあと思いつつ使っている私にも責任がありますが、抗がん剤の「標準治療」にも、同じような誤解されやすさがありますね。
「基本」「標準」があるなら、「応用」「プレミアム」があるのでしょうか?残念ながらそうではありません。歴史の中で、海千山千の治療の中から本当に有効であるものを探しに探し、経験と研究によって効果と信頼性を評価しつくされた上で、現在のベストと考えられている治療法が、「基本」「標準」になるのです。
ですので、私の心づもりとしては、「現時点で最も信頼度の高いやり方で治療を選択します」という態度で診療を行っています。どういう場合にどう治療するのがベストなのかは研究されて常に進歩しますから、それを勉強し続けます。
逆に言いますと、「現時点で良いのか悪いのかわかっていない、信頼できない治療はしません」という意思表明でもあります。医師はやろうとすれば色々できてしまいますから、これは自分への戒めです。
「あまり知られてないけど実はこれがよく効くんです」ということは当院では多分、あまり、ありません。本当に良い治療であれば、それは評価されて標準になっているか、少なくとも発表されて皆に知られ、評価の途中であるはずです。
アレルギー疾患は慢性疾患です。治療をすれば割と早期に良くなることはよくありますが、治療からたちまちに解放されるということはありません。
色々な治療法を試される患者さんはいらっしゃいますし、謎の膏薬を用いる医者がもてはやされたりすることが、そしてその結果可哀想な経過を辿っている子どもをみて忸怩たる思いをすることが、現代日本でも、京都でも、まだまだあります。
私は、多くの小児科医がそうであるように、謎の膏薬は使いませんし、「現時点でベストだと評価されている治療」を、他の小児科医と同じように、実施します。
「どんな治療を」と聞かれる方にはがっかりされるかもしれないのですが、「基本に忠実」とはそういうことです。これを説明する時にいつも言葉足らずで申し訳ないな、と思っているのですが、そういうことなのです。