手足口病の患者さんが多くなっていますね。
手足口病(コクサッキーウィルス、エンテロウィルス)に限らず、アデノウィルスなど、いわゆる「夏風邪」と言われるような咽頭炎では、40度の高熱がでて解熱剤を使っても下がらない、下がったとしても38度台で、1時間でもとにもどる、といった状況になりがちです。
2-3日の経過で解熱していくのですが、このような高熱を初めて経験される保護者さんは心配されるでしょう。
高熱でぐったりしてしまっているときには解熱薬を使いますが、解熱剤を処方するときに自分がよく聞かれること、説明する内容に以下のようなものがあります。
使用する間隔:4〜6時間間隔
以前は「8時間間隔」と説明されていたことが多かったように記憶していますが、添付文書ではもっと短くて良いことになっています。
一日の総使用量の関係で、4時間間隔だとすこし過剰になってしまう場合もあるので、普段は6時間間隔でご案内しています。しかし、手足口病の初日のように高熱が出やすくなかなか下がらない状態では、遠慮せずに4時間間隔で使ってよいと考えています。
(アンヒバ坐剤の添付文書より引用)
使用するタイミング:目安として、38.5度以上
本当は、遊んでいるかぐったりしているか、食欲のあるなし、といったことを重視するのですが、なかなか難しいので、体温を基準としてお伝えします。
ですが、機械的に解熱薬を使用するよりも例えば、「食事や水分を与えたい時間にすこしでも体温が下がっているようにする」とか、「寝る時間に体温が下がっているようにする」というように、目標を定めて使用タイミングを決めていくのが、よりよい使い方だと思います。
使用すると再発熱時に熱性けいれんが心配:関連はありません。
「熱性けいれん診療ガイドライン」には、「解熱薬使用後の熱の再上昇による熱性けいれん再発のエビデンスはない」と記載されています。
(熱性けいれんガイドライン2015より引用)
使用すると病気の治りが遅くなる?:関連はありません
「人間の自然治癒力を妨げる」「ウィルスの増殖を助長する」といった情報が流布されていることがありますが、関係は示されていません。解熱薬を使用してもしなくても、病気が治るまでの期間は同じです。
(元気そうにしていても解熱剤を使うといったような)不必要な使用、過剰な使用は諌められるべきですが、解熱剤の使用を過剰に恐れる心配もありません。
解熱剤については、「こうしなければ治らない」というものではないので、子どもの状態をみてうまく使用して、病気が治るまでの期間を乗り切っていただければと思います。