よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです

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「なんでもそうだん箱」への返信内容の共有②

こんにちは。

「なんでも相談箱」に頂いた質問のなかで、公開を許可していただいたものからいくつかを選び、私が返信した内容をここで共有させて下さい。

こうしてみると、どのお返事もくどくどと長文になってしまっている気がしますね。。。


そうだん箱へのリンクはこちら
→ なんでもそうだん箱

前回のお返事共有記事はこちら
→ 「なんでもそうだん箱」からのご相談と回答共有 - よしだこどもクリニックのブログ

ご相談して頂いた方の中で、もし、いったんは許可したけれどやはり取り消したいな、と思われた場合は、申し訳ありませんが、ご連絡いただければ対処いたします。

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血液型の検査

子どもが自転車通学をしています。何かあった時のために血液型を調べておこうかと思うのですが、血液型を調べてもらうことは可能ですか?

血液型の検査はよく依頼され、自費であれば確かに検査は可能なのですが、最近はお断りすることにしております。

というのも、そもそも血液型を知っておくことにはメリットがないからです。

万が一急いで輸血が必要になった場合、その人の血液がが何型であるかメモがあったとしても、必ずその場で血液型を検査します。間違いであった場合のリスクが大きすぎるからです。(まれな血液型の場合は、家系から事前にわかっているでしょう)。

入学時の書面などで、古いものがずっと使われていると、いまだ血液型を書く欄が残っている場合もありますが、基本的には意味のないものですので、今後は聞かれなくなっていくと思います。


デメリットもないのだから調べてもよいのでは、というご意見もあろうかと思いますが、とくに日本ではどうも血液型と性格診断というものが結びついております。

本人自身の性格をよく見ないままに、A型だからこう、B型だからこういう人のはずだ、と他人から見られたり言われたりするのは、本人にとってあまり良いことではないだろう、という危惧をもっています。実際には関係がないことですからね。

そのようなわけで、血液型は検査しないことにしてしまっております。自費検査をされる病院もあるでしょうから心苦しいところもありますが、上記の様な理由があってのことですので、ご了承いただければと存じます。

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授乳中のコロナワクチン接種は、赤ちゃんに影響するか?

(授乳中のお母さんからのご質問です)先日、私の2回目の新型コロナワクチン接種が終わりました。接種後も前と変わらずと言うか、抗体が娘に届くことを期待して積極的に授乳しています。


ですが、母親からの移行抗体の濃度が高い時期は子供が受けるワクチンの効果が下がる事があると聞きました。授乳中の母親のワクチン接種は、子供が受けるワクチンの効果に影響あったりするのでしょうか?

たしかに、母乳中に抗体は分泌されています。それは、コロナのワクチン後だからというわけではなく、常に、母親が持っている多種多様の抗体がまんべんなく分泌されています。

抗体にも種類があり、母乳に多いのはIgA抗体といって、粘膜表面、つまり赤ちゃんの気道で主に働くものです。ですから、赤ちゃんはお母さんの免疫に守られるわけですね。

ですが、IgA抗体を飲み込んだからといって、IgA抗体は血液中で働くタイプではありません。そもそも、抗体はタンパク質なので消化分解されますから、そのまま血液中には入りません。
ワクチンの効果には主に血液中の抗体が働くので、母乳中の抗体は何ら影響を及ぼしません。


また抗体は、その先端の抗原とくっつく場所の構造に無限の種類があり、その抗体ごとに特定の対象しか認識しません。
(有限の遺伝子しかないのに、なぜ無限に種類を作れるのかというとそれはノーベル賞をとった本庶先生の研究成果で、ノーベル賞をとった研究とは違うんですが僕はこれがとても好きで、、、、、

、、ともかく💦、コロナウイルスとくっつく抗体が特別増えたからと言って、その抗体は他のウイルスを認識しません。

お母さんの母乳ではもちろん他のワクチンに影響はないですし、たとえば仮に赤ちゃん本人にコロナのワクチンを接種したとしても、他のワクチンに影響はでないはずです。

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新型コロナのワクチンはどちらの腕に接種する?

コロナワクチン接種でお世話になりました。子供のことではないので恐縮ですが、打つ腕について教えていただけますとありがたいです


私の周りの接種者は、一人を除き全員利き手関係なく左腕です。一人だけ、病院で接種した人は一回目は利き手、二回目は逆でした。
今回一回目の接種で利き手を勧めていただきまして利き手に接種したのですが、珍しいなと思い、ネットなどで見てみますと、COVID19ワクチンに関する提言では利き手と逆に打つことを推奨しているようで、疑問に思い、質問させていただいた次第です。


私自身はどちらでも全く問題はなく、単にどうしてだろうと気になってしまっただけで、知りたいだけなのです。お忙しい中、お目通しいただけますと幸いです。

これに関しては医学的な深い意味は、ありません

例えば赤ちゃんだと同じワクチンを何度も接種しますが、そのときは、とくに医学的な根拠はないけれど、同じワクチンを続けて接種する場合は場所を変えることが多いです。

新型コロナのワクチンは2回目が強く腫れるので、2回目は利き手と逆にしたい、、、ということは1回目は利き手のほうにした方がいいのか?、という考え方で、京田辺市の大規模接種会場は基本的に1回目が利き手、2回目が利き手と反対、と案内しています。当院もそれに倣っている、という感じです。

ただ、本当に接種する場所を変える必要があるかというと、別にそういう理論的な根拠はありません。実際、僕も他市町村の接種会場に行くとそこのルールに従い、2回とも利き手と逆の腕に接種することがあります。

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新型コロナのワクチン、インフルエンザ、子宮頸がんワクチン、優先順位は?

(中学3年生のお子さんをお持ちのお母さんからのご質問です)
体に発疹がでていて、皮膚科の先生からは中毒疹と言われています。
コロナ予防接種はいつ受けるべきでしょうか?子宮頸がんワクチンもまだで、インフルエンザもあるし、どういう接種スケジュールにするか悩みます。
子宮頸がんは来年春に一回目を考えています。

コロナの予防接種は機会が得られれば速やかに接種すべきです。発疹は関係無しで良いと思います。

子宮頸がんワクチンももちろん早いほうが良いですが、高校1年のおわりまでに接種すればよいので、この3つの中では最後で良いと思います。インフルエンザは今年流行しそうだなあと思っています。

コロナ2回 → インフルエンザ2回 → 来年早々に子宮頸がん2回 → その次にコロナ3回目がきそう → 子宮頸がん3回目

という流れになるのではないかと思います。

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コロナのワクチンは胎児に影響しないはずのに、赤ちゃんは抗体をもっているの?

妊婦のコロナワクチンについて質問です。
ワクチンを打つメリットの方が大きいと言われていることについて承知しております。


ワクチンは胎盤を通すことはなく、胎児に影響を与えることはないと言われているという記事を見ました。それで納得したものの、一方で日本ではなかったかと思いますが、生まれた赤ちゃんが抗体を持って生まれてきたというニュースもみました。


胎盤を通さないということだったのに、抗体を持っているとしたら、あれ?胎盤通して胎児にワクチンの影響があったということか?と思い、確認できないままなので尋ねさせてもらいました。

コロナにかぎらず、お母さんの持っている免疫(IgG抗体)は胎盤を通過して胎児に移行します。これによって赤ちゃんは、もらった抗体が消えるまで出生後半年ほど、お母さんと同等の免疫をもつことになるわけです。


うまいことできているな、と思いますよね。


というわけで、たしかにワクチンの成分は胎盤を通りませんが、ワクチンによってできた抗体が赤ちゃんに移行する、という意味なんですね。

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