よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです(2017年6月1日開院)

クリニックのWebページ →   http://yoshida-kids-clinic.jp/
twitter →   @ykids_c

事務スタッフを募集しています。

よしだこどもクリニックでは、一緒に働いていただける事務スタッフを募集中です。

 
当院は、2017年6月に開院した、まだ新しい小児科クリニックです。

院長含めてまだまだ駆け出しではありますが、来院したこどもさんがすこしでも楽になり、ひとつでも気が紛れるような、元気がでるような経験をして帰っていただけるような場所を目指しています。

 

同時に、スタッフにとっても、気持ちよく自信をもって仕事をしていただける場所でありたいと思っております。

 
事務職員さんには、受付や会計、待合患者さんの状態把握、診療の補助、などをお願いしています。来院された患者さんに最初に接する、大切な仕事です。

 

資格や経験は不問です。細かな勤務時間や勤務条件、応募の方法は、下記タウンワークのページをご参照下さい。

よしだこどもクリニックの求人情報|【タウンワーク】

 
また、わからない点などありましたら、まずは以下のメールアドレスまで、お気軽にお問い合わせ下さい。

info@yoshida-kids-clinic.jp

 

応募方法は履歴書送付となっていますが、メールに履歴書を添付して応募していただいてもOKです。

履歴書は手書きでも、パソコンで作成したものでも、どちらでも構いません。

 
当院で一緒に働いてみませんか?ご連絡をお待ちしております。

隠れインフルエンザ?

こんにちは。隠れ肥満の院長です。

 

 f:id:ykidsc:20180203170710p:plain

 

最近、「隠れインフルエンザ」に注意!?といった報道があったのでしょうか。ときどき、そういう言葉を聞きますね。

 

37℃程度の微熱を呈する方の中にも、インフルエンザウィルスの感染者がいるので、注意が必要である、というような内容だったようです。

 

 

熱はないけど、頭痛、腹痛、関節痛、とにかくしんどい、といった場合は、高熱がないからといってインフルエンザを否定するのではなく、症状全体を俯瞰して判断する必要があります。

 

一般に、インフルエンザの迅速検査は発熱後24時間、せめて12時間経過してから、といわれますが、発熱がなくても他の症状が強いケースでは、インフルエンザを疑って検査してみることがあります。(逆に、高熱があって症状が典型的であれば、検査は省略してかまいません)。

 

ですので、熱がなくてもとても身体が辛い場合は、検査の事を考えてあえて時間を待って夜や翌日に受診されるより、まずその時に診させていただいたほうが良いかもしれません。

 

 

それとは別に。

 

元気なんだけど微熱があって、翌日には解熱したけれど、検査してみたらインフルエンザ陽性だった、ということがあります。

 

(検査することの是非はともかく)このようなケースは治療は不要で、それは休む必要があるのかないのか、見つける必要性があったのか、周囲一同含めて釈然としない結果になってしまいます。

 

これも「隠れインフルエンザ」でしょうか?

 

 

 

じつは、軽い感冒症状で終わってしまうインフルエンザ、というのは、珍しくありません。

 

感染力が無いわけでもありませんし、症状のある間は休んでいただきたいことも変わらないのですが、症状のつよいインフルエンザと同じ扱いが必要なのか、といわれると、うーむ、と思ってしまいます。

 

このような軽症インフルエンザを血眼になって見つけることには弊害もいろいろとありますから、周囲の状況も含めてどうするか判断する、ケース・バイ・ケースの対応となります。

 

当院の抗菌薬使用傾向(2017)

こんばんは

 

今回は抗菌薬の話なのですが、主に同業者さん向けに書きましたので、その目的ですと表1枚で終わってしまいます。ですので、冒頭に表示いたします。

 

f:id:ykidsc:20180114224903p:plain

処方量や病名と合わせて分析できると良いのですが、うちのカルテ、そこまで賢くありませんでした。

 

以下にて、一般の患者さん向けにも説明させていただきますが、ちょっとむずかしい話になってしまうかもしれません。

 

はじめに

昨年、厚生労働省が下のようなポスターを作成し・配布し、世代直撃の医療従事者の間で苦笑いとともに受け止められたのですが、なんと申しますか、ガンダムのインパクトが大きすぎて、何を訴えるポスターなのかイマイチわからん、という印象ではありました。

f:id:ykidsc:20180114204244j:plain

 

簡単にいうとどういうこと?

簡単にいうと、抗菌薬(抗生物質)を無秩序に使いすぎると、それに耐えられる菌(耐性菌)ばかりが増えてしまって、世の中のためには良くないよ、そのために、必要最低限の抗菌薬を使おう、という啓発なのです。


必要最低限といってもポイントがいくつかあって、

1 抗菌薬を使う必要があるときとないときは区別しよう(風邪など、ウィルス感染症につかっても意味がないです)

2 抗菌薬を使う必要があるときは、十分な量を使おう(中途半端に使うと、耐性菌が生き残りやすくなります)

3 抗菌薬を使うにしても、目的の菌をしっかり考えたうえで、目的の菌以外はできるだけ効かない抗菌薬を選ぼう(絨毯爆撃のような治療は極力さけよう)


この3点があると思います。

 

これまでの歴史

「抗菌薬を使ったほうがよいかどうか、完璧に判別するのは難しいから、念のため使っておこう」

「目的の菌を考えると言っても、薬が効かない菌が増えているのだから、そういう菌にも効果がある抗菌薬を最初から使うほうが、治療効率がよい」

と、考える方は多くいらっしゃると思います。

 

実際にこのような考え方でもって抗菌薬の開発が進み、治療がされていたのが、1980年〜2000年頃だと思います。その結果、いろいろな「薬の効かない菌」が発生し、それに効く抗菌薬が導入され、イタチごっこになってしまったのでした。

 

2000年以降に医師になった私の世代以下の医師は、このような背景のもとで、よく考えて抗菌薬を使うように教育を受けてきています。

 

しかしそれでも、薬剤耐性菌の勢いが抑えきれておらず、上のようなポスターのように、「抗菌薬の使い方をよく考えよう」という啓発がされるようになったのです。

 

自分の処方傾向を確認してみました

開院して初年が終わりましたので、これを機に、私がどのような抗菌薬をチョイスしてきたか、統計をとってみました。

 

これで分かるのは上記3「目的の菌以外はできるだけ効かない抗菌薬を」選んでいるか?ということです。

 

ただし、難しいのは、狭い範囲の菌にしか効かない抗菌薬を使おうとするあまり実際に効果が得られなければ、患者さんにとって不利益だということです。

 

必ずしも、「狭い範囲の菌にしか効かない抗菌薬」しか使っていないことだけが、評価されるわけではありません。

 

そのときの症状や、過去にどんな治療がされてきた患者さんか、どんな菌が患者さんから検出されているか、といった情報を含めて、その都度判断する必要があります。

 

 それも踏まえつつ、もう一度さっきの表を見て下さい。

 

 

f:id:ykidsc:20180114224903p:plain

(商品名は当院で処方しているものですが、昨今ジェネリックが沢山ありますから、必ずしも薬局さんで頂かれた薬と一致するわけではありません)


といっても、これではどれがどのような特徴のある薬なのかわかりませんから、すこし補足させて下さい。

 

それぞれの抗菌薬の特徴

AMPC(ワイドシリン/サワシリン)

これは古くからある抗菌薬で、気管支炎や中耳炎など、気道の感染症によく使います。いわゆる、「ペニシリン」の系統にある抗菌薬です。

効果範囲としては狭い部類ですが、吸収が良いという利点もあって、今でも肺炎や中耳炎の治療では第一選択になっています。


AMPC+CVA(クラバモックス/オーグメンチン)

上記AMPCにすこし足しただけの抗菌薬なのですが、効果範囲がかなり広いです。広いのですが、(日本の)気管支炎や中耳炎によくある菌を想定した場合、あまりAMPCと変わらないんですよね。。。

その割に腸内細菌を殺してしまうので、下痢が多い抗菌薬です。

しかし、小児科の場合には大きなメリットとして、ドライシロップだとAMPCより飲みやすく、濃度が高いので十分な量を使いやすいです。中耳炎のように膿の貯まるような感染だと「十分な量を使う」ことがとても大切なので、それで選択されることが多いと思います。

AMPCを沢山のんでも同じなんですが、濃度が高いぶん、こちらのほうが飲ませやすいのです。しかし下痢が多いし効果範囲が広すぎる、という薬です。


CCL(ケフラール)

これも古くからある抗菌薬で、舐めてみると懐かしい味がします。第1世代セフェムという系統に分類されます。

これは黄色ブドウ球菌という菌に対して第一に選ぶ薬で、とびひなどの皮膚感染症に使っています。他に、尿路の感染にも使われますね。

黄色ブドウ球菌というのは、抗菌薬が効かない菌が増えている代表的な菌なのですが、とびひだと塗り薬も併用するので、合わせ技で100%近く治癒しています。


CFDN(セフゾン)CDTR-PI(メイアクト)

この2剤は第3世代セフェムといって、一時の花形だった薬です。同じグループにCFPN-PI(フロモックス)などもあるのですが、自分が使うのはこの2種類です(この2種類の使い分けもあるのですが割愛)。

いろんな菌に効果があるのですが吸収が悪いので、薄く浅く効くことになります。それで逆に薬の効かない菌を生き残らせてきたのではないかと、昨今槍玉に上がることが多く、ちょっと可哀想な立ち位置になってきています。

個人的にはあまり使うことはないのですが、小児科特有の事情として、味がよく量も少なくて飲ませやすいのがどうしても重要です。そういう目的で選ぶことがあります。

 

CAM(クラリス/クラリシッド)AZM(ジスロマック)

この2剤はズバリ、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳という3つの菌をターゲットにするときに使います。

もっと使っているかと思っていたのですが、昨年はマイコプラズマの流行が大きくなかったのが影響しているかもしれませんね。


FOM(ホスミシン)

細菌性の食中毒のとき(抗菌薬を使わないこともあります)と、とびひでCCLが効かなかった時、尿路感染症のときに選びます。


TFLX(オゼックス)

中耳炎を繰り返して、薬の効かない菌が生き残っている時に使う抗菌薬です。もうすこし使っているかと思っていましたが、意外に少なかったです。


もう一つの使い方として、普通はCAMを用いるマイコプラズマで、薬剤が効きにくくなっている株が以前流行したので、そのような菌を疑う時に使用することがあります。

ですが、CAMが効けばCAMのほうが効果が高いのと、そのような耐性菌が最近は鳴りを潜めていることもあって、あまり使いませんでした。

 

TBPM-PI(オラペネム)

これまで使ったことがないのですが、絨毯爆撃抗菌薬です。中耳炎で使われることがあるようですが、、、。

 

 

おわりに

このような結果となりました。略号も多いですし、なかなか、一度に噛み砕いて説明するのは難しいですが、わりと(意外と?)色々考えながら薬を選んでるんだなー、と思っていただければ幸いです。時間をあけて、また統計をとってみたいですね。

続 インフルエンザの話

こんにちは。

年末も押し迫ってきましたね(と、これを書いているときは年末でした。もう年が明けてしまいました!今年もよろしくお願いいたします)。

年末は最終日近辺で声が嗄れてしまい、ご心配をおかけいたしました。


開業初年、いろいろと課題を残しつつも、まずまずなんとか終えられました。
工夫する所、考えないといけないことが、いくつかあります。来年今年もがんばります。

 

さて前回、インフルエンザの話をしていて、書ききれなかったアレコレがありますので、紹介させて下さい。

 

迅速診断キットで陽性にならなければ、学校を休めない?処方をうけられない?

→検査をしなくても、また検査が陰性であっても、強く疑われる場合はインフルエンザと診断します(検査は完全ではないからです)。必要なケースであれば治療薬を使用しますし、園や学校を出席停止とするのも同様です。

また、流行期で、まわりにインフルエンザ患者さんが居て、明らかなインフルエンザ症状を呈している場合には、検査の省略をご提案することがあります。

 

よく、出席停止の書類を書くためには検査が必要と思われている場合がありますが、そのようなことはありません。

 

また、このように、検査を省略できるくらいにインフルエンザの可能性が高い、という場合には、「検査をするならせめて発症後12時間」を待って夜間受診するより、日中に受診してしまってもよい、と思っています。

 

インフルエンザの治療は必ず必要?

→前回も書きましたが、重症化リスクのない健康な成人であれば、必要とは言えません。
小児科の範囲で言えば、幼少児や、喘息を始めとした慢性疾患をもっているお子さんでは、治療に積極的になります。それ以外では、治療の重要度は下がると考えます。

 

インフルエンザの治療はいつまでにはじめればよい?

→症状がでてから2日(48時間)以内の内服で効果が確認されています。

 

症状が改善したら、投薬はやめてよい?登校・登園してよい?

→症状が改善しても、ウィルスの排泄は続いています。
いちど使い始めた治療薬は、必ず最後まで内服・吸入を続けて下さい。

 

→また、登校・登園については、以下のように基準が決まっています。
発熱した日を「0日目」とカウントして、5日目まではお休み
加えて、
解熱した日を「0日目」とカウントして、学校は2日目まで、保育園幼稚園は3日目まで、お休み

となります。これは、診断した時に一緒に考えてお伝えするようにしています。

 

赤ちゃんでもタミフルを内服するの?

→1歳未満でも行います。

 

妊婦も治療をするの?

→行います。積極的におすすめします。

妊婦さんは重症化しやすいですし、お母さんの早い解熱が、胎児の安全にもつながると考えて下さい。抗インフルエンザ薬によって胎児に問題があったという報告はありません。

 

授乳中でも治療してよいの?

→良いです。積極的に治療をお勧めするかどうかですが、赤ちゃんと密に接触することを考えると、治療は行ったほうが良いのではないかと思います。

治療薬が母乳にでるかどうか心配するよりも、インフルエンザを子どもにうつさないかどうかのほうが重要なことです。手を洗い、マスクを付けて、できればエプロンも付けた上で、母乳を与えて下さい。

 

予防のための処方は行っていますか?

→対象の方には行います。

インフルエンザ患者さんと同居されている方で、
ハイリスクの方(高齢者、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、糖尿病、腎障害のある方)
が対象となります。

また、添付文書にはありませんが、妊婦さんも予防投与の対象としてよいのではないかと考えております。日本産婦人科学会もそのように勧めています。

日本参加婦人科学会:お知らせ

 

 対象となっても、保険の適応はなく、自費での処方となります。

 

特別な事情のある方を除き、対象外の方に予防投与を行うことは、当院では行っていません。

また、保険適応で予防のための処方を行うことは禁じられています。



 

季節柄、待合室がどうしても混み合う時間帯があります。とくに、順番予約が始まる時間帯(朝11時〜、夕18時〜)に来院が集中する傾向があります。

順番予約の方は番号順に診察いたしますので、Web予約の画面で、診察の進み具合を確認しつつご来院下さい。

ただし、具合の悪そうな場合は、番号関係なく来院下さい。スタッフにより判断させていただきます。

 

 

インフルエンザの流行が始まりそうです

こんばんは

 

当院近隣でも、インフルエンザの流行が始まりました。昨日何人かの患者さんに聞かれましたが、おそらく今週から流行が大きくなるのではないか、とお答えしました。

 

前職場にて院内感染対策に携わっていることもあり、クリニックでも待合の患者さんができるだけ多くならないようにと普段から気にしておりますが、インフルエンザの流行期はなおさら気になります。

 

一方で先週は、患者さんを多くおまたせした時に、焦って丁寧さが疎かになっていないか、という反省もありました。

 


そのような理由もあって、当院は時間予約制および順番予約制としております。

 

原則的に、予約時間、予約番号の順番で診察しておりますが、それでも朝の10時過ぎ、夜の18時過ぎには、来院される患者さんが集中する傾向にあります

 

 

順番予約の場合は、予約ページ上で診察進行状況を確認していただき、自分の順番が近くなったらご来院いただければ、おまたせする時間が短くなります

 

また、メールアドレスをご登録いただければ、順番が近くなったら連絡が入るようになっております(時間予約の方には入りません)。

 

f:id:ykidsc:20171217223601j:plain

(順番予約の場合、順番が近くなるとメールでこのような連絡が入ります)

(時間予約の方には入りません)

 

 

できるだけ、院内滞在時間が少なくなるよう、受診する際には参考にしていただければと思います。

 

また、インフルエンザの防御に最も必要なのは、手の消毒だと思っています。院内に設置してありますアルコール手指消毒剤は、積極的に使用して下さい

 

 

前回の続きでタミフルの話を書こうと考えていましたが、次の機会にします。よろしくお願いいたします。

インフルエンザワクチンの件と、タミフルの件

こんにちは

 

インフルエンザワクチンの納入遅延につき、予約いただいた方の接種を一部延期させていただき、新規予約の受け付けも停止しております。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

 

2017/12/8(金)にご予約頂いた分以降は、予定通り接種が可能となる見込みですが、不確実な要素もありますので、まだ予約の再開はしておりません。追ってWeb上でご報告いたします。

  

タミフルで異常行動の話は、その後どうなったか


さて、インフルエンザと言えば、治療薬のひとつタミフルが異常行動を誘発するのではないかと疑われ、現在も10歳代の方には処方を控える状況が続いています。先日、昨年度の調査結果が報道されたので、思い出された方も多いでしょう。

 

私達が小さな子どもに処方するときも、「こわい薬」と言われたり、異常行動を心配されるご家族がよくいらっしゃいます。

 

実は私自身も子供のころ、(たぶん)インフルエンザに罹って、何故か無性に哀しくなり、謎の壮大な涙を流した記憶があります。翌日にはサッパリ消えましたが。そのころ、タミフルなんてなかったですよね。


この話は騒がれた割に、最初から確かな証拠はありません。データを蓄積してみると、薬を使用しなくても異常行動はあり、タミフルでも他の薬を使用した場合でも、使用したほうが重度の異常行動は減少する、ということが分かってきました。異常行動は、インフルエンザ自体の症状の一つなのです。

 

 

下記は、厚生労働省研究班による調査結果です(2010/2011シーズン〜2013/2014シーズン)。数字は100万人あたりの発症率。

f:id:ykidsc:20171129204602p:plain

平成27年度日本医療研究開発機構委託事業(医薬品等規制調和・評価研究事業)
「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究」よりグラフ作成

 

軽度の「異常行動・言動」も含めると、インフルエンザ患者の10〜20%に発生するのですが、意外に高率なのに驚かれるかもしれません。投薬がある方が少ないとはいえ、投薬すれば異常行動がなくなってしまうわけではないので注意が必要です。

 

 

先日の報道は、厚生労働省から昨年度の調査結果と注意喚起がなされたことを知らせるものだったのですが、内容と異なりタミフルと異常行動に関連があるような報道を行った機関があり、一騒ぎとなりました(朝日新聞のほうは後に修正されました)。

f:id:ykidsc:20171129192321p:plainf:id:ykidsc:20171129192426p:plain

薬害が強く疑われれば対応が必要なのはもちろんです。しかし、タミフルに限らず、抗がん剤のイレッサやHPVワクチンのことも、同じ人達が中心となって薬害を訴えておられまして、証拠が精査される前から、このような方々の主張に沿ったイメージ戦略的な報道があるのは、社会的には損失であり、気にかかるところです。。。

 

異常行動に対応するために

 

というわけで、インフルエンザの患者さんは、投薬のあるなしにかかわらず、異常行動に気をつける必要があります。

 

異常行動は、9割が発熱後2日目までに発生します

・インフルエンザに罹患した子どもさんは、できるだけ一人にしない

・玄関や窓の施錠を確認する

・戸建住宅なら1階で寝かせる

などといった注意点がありますので、診断した患者さんにはお伝えしようと思います。

 

異常行動と関係ないなら、タミフルはどんどん使えばよいのか?


では、タミフルを含めて、インフルエンザに投薬はどんどん行って良いのかというと、そういうことでもありません。

 

重症化のリスクが高い方(乳幼児、高齢者、妊婦、慢性疾患(喘息、糖尿病、腎疾患など))には治療に積極的になりますが、健康成人の治療に必要かどうかは、ケースバイケースです。

 

個人的にはこれまで、小学生以上の患者さんに対しては、希望をお聞きしつつ、軽症例には処方しないこともある、というスタンスで治療を行ってきました。3歳以下であれば重症化のハイリスクとして、積極的な投与対象としています(0歳児へのタミフル投与も公に認められています)

 

次回は、インフルエンザの治療に関してよく聞かれるあれこれを、まとめようと思います。

インフルエンザワクチン新規予約停止の件と、保存剤チメロサールの件

こんばんは


報道にもあるとおり、全国的にインフルエンザワクチンの生産が遅れています。当院でも、納入できそうな分しかご予約いただかないようにしておりましたが、供給不足が顕著となったため、本日より、予防接種の新規受付を停止いたします。ご迷惑をおかけいたしますが何卒ご了承下さい。

 

既にご予約いただいている分については、今のところ確保できる見込みですが、予断を許さない状況です。遅延が見込まれる場合は、改めて当院よりご連絡いたします。

 

2017.11.21 追記

 

11月29日〜12月6日予約分のインフルエンザワクチンについて、当院納入分がキャンセルとなり、遅延が生ずる見込みとなりました。申し訳ございません。


対象の方々には、代替の接種日について順次ご案内を差し上げております。連絡をお待ちいただければと存じます。何卒ご了承下さい。

 

追記終わり

 

ワクチンに含まれる保存剤とは?

さて、最近、診察の際やお電話などで数回、当院のインフルエンザワクチンがチメロサールフリーかどうかを確認されました。


チメロサールは、一部のワクチンに保存剤として添加されている水銀化合物です。現在日本で日常的に接種されているワクチンのなかで、チメロサールを含むのは一部のインフルエンザワクチンと一部のB型肝炎ワクチンのはずです。

 

かつて、チメロサールにある種の害があるのではないかと疑われたことがあるので、確認を頂く方は、そのために念のため確認されるのでしょう。


結論を申しますと、当院では、チメロサールの有無を患者さんに指定して頂くことは行っていません。チメロサールによって、何らかの影響がでたという調査結果はなく、疑いは既に否定されているからです。

 

乳児でも、妊婦さんでも、授乳中でも、普通のインフルエンザワクチンを接種していただいて問題ありません。

 

また、含まれるチメロサールはメーカーの努力により以前の1/10以下となり、許容量を大幅に下回っています。マグロの刺身のほうが遥かに多くの水銀を含有しています。

 

どうしてチメロサールが問題とされたのか?

1990年代〜2000年前後にかけて、ワクチンに含まれる水銀は有害なのではないか、とりわけ、自閉と関連があるのではないか、という主張がなされたことがありました。

 

この仮説は、水銀中毒と自閉スペクトラム症の症状が類似している、ということ(だけ)が根拠だったのですが、この時点ではデータが不十分であったので肯定も否定もなされず、ワクチンに含まれるチメロサールはできるだけなくしてゆく方針がとられました。

 

その後、チメロサールと自閉の関係は、調査により否定されました。ワクチンそのものも、ワクチンに含まれる水銀も、自閉とは無関係です。これが2000年代前半のことです。

 

残念ながら、この説は現在に至るまで都市伝説のように生き残っています。悪名高い某反ワクチン論者がこの説にとびついたこともありました。とくに、妊婦さんや小さな子どもさんに対しての接種に、不安をもたれる方がいらっしゃいます。

 

当院の考え方

私は、不安に思われる事自体は、自然なことだと思います。このような話を聞いたら、頭では分かっていても気分的に嫌なイメージを持ってしまうのは、当然のことです。

 

現在でも、チメロサールフリーのワクチンを選択的に提供しているクリニックもあるそうです。それもまた、そのような立場があることは理解いたします。

 

ただ、私の個人的な考え方としては、すでに否定された主張により不安を持たれる方に対して、不安に万事沿って対応するよりも、不安に思う必要がないことを繰り返してお話しすることのほうが、医療従事者として正しいあり方のように思っています(これもケースバイケースではありますが)。 

 

結論

妊婦さんでも、授乳中でも、乳児でも、どのようなインフルエンザワクチンを接種しても問題ありません。現在のワクチンに含まれるチメロサールは極微量です。それによって、自閉を含む何らかの影響がでたという調査結果はありません。

 

妊婦さんや授乳婦さんは、ワクチンに含まれる水銀よりも、魚介類から水銀を摂取しすぎないようにに気をつけてください。

 

参考

有機水銀を含まないチメロサールフリーのインフルエンザワクチン 2017年生産動向と妊婦・胎児への影響

横浜市衛生研究所:チメロサールとワクチンについて