よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです(2017年6月1日開院)

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気管支喘息ってどんな病気?(3)「喘息のケ(気)がある」とは、どういうこと?

前回までは、気管支喘息とはどういう状態か、喘息発作が起きたときはどう治療するのか、また、発作をそもそも起きないようにするための長期的な予防治療について、お話ししてきました。

 

気管支喘息ってどんな病気?(1)喘息発作の治療 - よしだこどもクリニックのブログ

気管支喘息ってどんな病気?(2)喘息の長期的な予防 - よしだこどもクリニックのブログ

 

とくに乳児期の長期予防については、「喘息」とははっきり言われずに、「喘息の気がある」などとして、「オノン(プランルカスト)、キプレス・シングレア(モンテルカスト)」の処方をされる、というケースもあるかもしれません。

 

個人的には「喘息の気がある」という言い方はあまりしないのですが、この言葉を使わずにわかりやすい説明をできているかどうかは、自信をもっては言えません。なぜこうはっきりと言われないことが多いのでしょうか。

 

乳児のゼイゼイのその後 3パターン

非常に簡単に言うと、乳児期のゼイゼイのその後には以下の3パターンがあるのではないかと、言われています。

 

 かぜ(ウィルス感染)のときに頻繁にゼイゼイというが、それは気道の細さや筋肉の弱さといった個別的な理由によるもので、3歳くらいまでに、かぜをひいてもゼイゼイ言わなくなるパターン。

 

 乳児期にかぜ(RSウィルスなどのウィルス感染)にかかったあと、気道の粘膜が過敏になっていると推測され、3歳をこえて6歳くらいまでは、ゼイゼイが繰り返すパターン

 

 ダニやホコリに対するアレルギーがあり、これに気温や気圧、ストレスなどの環境要因が重なって発作に至る、いわゆる気管支喘息のパターン

 

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(出典)診断、鑑別診断、病型分類 | 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン ハンドブック2013 ダイジェスト版 より加工

 

乳児のうちは、ゼイゼイということの殆どは、かぜ(ウィルス感染)に続発して起きるものです。ゼイゼイといっているときの状態は(微妙に違うのですが基本的には)喘息と似た病態であると解釈され、喘息発作と(微妙に違うのですが基本的には)同様に、気管を広げる薬などで対応します。

 

そして、このようなゼイゼイを繰り返す場合は、(2)喘息の長期的な予防でお話したのと同じように、長期予防内服やステロイド吸入の提案をすることになります。

 

 

このように、乳児期の感染に伴うゼイゼイに対しては喘息と同様の薬剤を使用する場合が多いです。


このときに「気管支喘息の治療を併用しますね」と言いますと、患者さんは「3のパターン」の気管支喘息を想像され、将来に渡って喘息の治療が必要な子どもであると思われるかもしれません。「エッ、うちの子は喘息なのですか?」と仰られることをよく経験します。ですが、ゼイゼイがその後いつまで繰り返すのか、上記の1〜3のどのパターンとなるのかはこの時点でははっきりとは確定できないのです。

 

気管支喘息という言葉を使うと、保護者さんを驚かせてしまうかもしれませんし、上記の1〜3のパターンの説明が必要になってしまいますから、それを省略する意味もあり、あまり乳児期から「気管支喘息」と明言せずに、「喘息の気がある」という言葉が使われるのだと思います。

 

 

「喘息の気がある」とは、乳児期に風邪をきっかけにしたゼイゼイがあったり、それが繰り返したりしたりする子どもさんに、喘息の投薬をしたい。ただ、将来的にもこの症状が続き気管支喘息になるかどうかはわからない、おそらく可能性は低い。そんな子どもさんの状態を、とりあえずご説明するときの言葉だと思います。

 

先に述べたように、個人的にはこの言葉をあまり使いません(使うこともあります)。「気がある」といってぼかすよりも、「喘息症状を呈しがちな子どもさんだけど、短期間でよくなることも多い」という上記のような説明を、省略しないほうがわかりやすいかな、と、これは個人の考えなので色々と医師によって考えが違うと思いますが、自分ではそう思っているためです。

 

10月4日(水曜日)から、一部時間帯に順番予約を導入する予定です

こんにちは。

 


当院では、2017年6月の開院後、Web上から「時間を指定して」ご予約いただくよう、運用しておりました。

 

ただ、日にもよりますが、患者さんが集中するとどうしても、後半の時間帯は遅れがちになってしまっています。

 

時間を指定しての予約のほうが、ご来院頂く時間を最初から確定できますので、患者さんからみると利便性が高いことは承知しておりますが、

混雑時には、時間通りにご来院いただいても長めの待ち時間が発生してしまい、かといって一人ひとりの診察を疎かにもできませんから、心苦しい思いをしておりました。

 

そこで、10月4日(水曜日)から、すこしだけ、予約の体制を変更させていただきたいと考えています。

 


 

9時〜11時17時〜18時は、これまで通り、時間を指定して予約をしていただけます。指定していただく時間は30分刻みから、15分刻みに細かくなります。

 

朝の11時以降夕の18時以降は、順番取りで予約していただく形になります。
午前は101番〜午後は201番〜の番号がふられる予定です。

 


 

順番予約の最初の方は、11時・18時を目安にご来院いただくことになると思います。

それ以降の方は、Web予約の画面から診察の進行状況を確認できる他、順番が近づいたら登録されたメールアドレスにご連絡させていただく予定で準備しております。

 

 

変更に伴いご迷惑をおかけしますが、待ち時間を少しでも短くできるようにするため措置ですので、何卒ご了承頂ますよう、よろしくお願いいたします。

 

気管支喘息ってどんな病気?(2)喘息の長期的な予防

こんにちは。

 

前々回、気管支喘息の発作が起きたときの治療について、基本的なことを書かせていただきました。

気管支喘息ってどんな病気?(1)喘息発作の治療 - よしだこどもクリニックのブログ

 

 

2017/10/15 追記 続きを書きました

気管支喘息ってどんな病気?(3)「喘息のケ(気)がある」とは、どういうこと? - よしだこどもクリニックのブログ

追記終わり

 

実のところ、こういった喘息の治療のしかたは、医師によって大きく変わることは基本的にはありません。

 

どのような治療方針が一般的に勧められるのか、という点については、これまでのデータがまとめられて診療のガイドラインとなっているからです。

 

他の病気でも同じですが、ガイドラインは基本方針ですから、一つの画一的な方法が定められているわけではありません。また、「これが正しい、他の治療はダメ」という性格のものではありません。

しかし、これまでの治療に関するデータを積み重ねた上での専門医の共通意見ですから、基本的には重視しながら診療に当たります。

ガイドラインをもとにしつつ、個別の患者さんの病状や、ご家族の意見や状況などにあわせて、臨機応変に対応していくわけですが、大きく逸脱しないかぎり、全国どこの医療機関であっても、基本的には同じ方向性で治療されることになります。 

 

ということで、前々回の続き、「喘息発作が起きないようにするにはどうするか」の基本方針は、どのようなものでしょうか。

 

 

気管支喘息の予防とは?

生活環境を整える

まず基本的なこととして、生活環境の因子を調整することがとても大切です。

  • 妊娠中を含めて、タバコの煙に曝露されないようにすること。
  • ダニ、ホコリとの接触を回避すること。
  • ウィルス感染を予防すること。

いずれも、現実的にはなかなか、難しいこともあるのですが、しかしタバコの害については最近だいぶ周知されてきたように思います。ただ、最近話題の「加熱式タバコ」の毒性については、まだ十分に評価されているとはいえません。少なくとも、加熱式タバコに変えたから周囲の害はゼロ、とは言えないはずです。まず禁煙するという選択肢が最優先であることには変わりはないでしょう。

 

生活環境を整えるといっても、例えば喘息だからと過剰に運動を控えるとか、皆が一緒にやることをこの子は休みますとか、そういうことは、望ましいことではないと思います。

なにも治療しなければそのように制限しないといけない患者さんを、できるだけ普通の生活ができるようにするためにこそ、予防治療があるのです。

 

 

薬物による喘息予防

気管支喘息の発作が一定の頻度以上で繰り返すとき、私たちは「予防治療を行いましょう」と提案します。


前回説明したように、気管支喘息の方の気道には、慢性的に起きている「炎症」がありました。発作のときだけではなく、いつも、気道がジクジクと腫れているのです。これに何かのきっかけが加わると、すぐに空気の通り道がなくなって、気管支喘息の発作に至ります。


予防治療では、この慢性的な炎症を軽減するような投薬を行います。

 

どうして、発作が起きるたびにその都度治療する、という方針では良くないのでしょうか。

これは、慢性的な炎症の持続や、発作の繰り返しによって、気道の構造が変化し(リモデリングと言います)、呼吸機能が低下してゆくおそれがあるためです。

また、「発作が起きるかもしれない」と心配して子どもの生活を制限するよりも、投薬によって、不安なく普通に活動できる生活を手に入れることが、子どもの生活の充実、健康な発達にとって大切なことだと考えられます。

 

実際の投薬内容


長期的に予防する手段のひとつは内服で、オノン(プランルカスト)、キプレス・シングレア(モンテルカスト)といった抗アレルギー薬があります。

 

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このような内服薬は喘息発作のときに短期間用いることもありますので、よく見かけられることがあるでしょう。本来はこのように長期間用いるための薬です。

 

 

もう一つの予防手段はステロイド薬の吸入です。小学生以上くらいであれば吸入キットを使っていただき、それ以下の場合は、吸入器を自宅に用意していただいて液体で吸入していただきます。

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小児科では吸入器を用いることが多いので、このような液体で処方することが多いです。

 

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だいたい小学生以上であれば、成人と同様に、このような吸入キットを用いて吸入できるようになってきます。

 

状況によりけりですが、基本的にはガイドラインに従い、5歳以下であれば抗アレルギー薬を毎日の抗アレルギー薬内服をはじめに提案しますし、6歳以上ならステロイド吸入を先に考えることになると思います。

 

副作用は?

ステロイド吸入の開始時には成長の抑制や、体内で自然に分泌されているステロイドへの影響などの副作用を考える必要がありますが、現在のデータでは、通常量の使用であれば、大きな影響は無いとされています。


私としては、副作用を過度に心配するよりも喘息発作を抑制するほうが大切なことであると考えますし、そう思えるほどの発作頻度の場合に、予防治療をおすすめしています。

 

大切なことは、発作が起きるようであればステップアップ(抗アレルギー薬とステロイドを併用したり、ステロイドの量を増やしたり)したり、長期間うまくコントロールできるようであればステップダウンしたりして、治療のレベルを患者さんの状態に合わせ、最低限の治療で発作がない状態を維持することです。

 

 

他の手段として、「咳止め」は喘息発作のときも予防の場合も使ってはいけない薬です(ですので、「咳止め下さい」と言われると、ごめんなさい、という気持ちになります。発作時の咳を完全に止めてしまうのは難しいことです)。


また、「メプチン」のような発作時につかう気管支拡張薬がありましたが、これだけを長期に用いることは、副作用の観点などから避けるべきとされています。

気管支拡張の貼付け薬、「ホクナリンテープ」を咳止めと称して連用されるケースも散見されますが、これも副作用の観点から、「必ず吸入ステロイドと併用して使用(連用)されるべき」とされています。

 

 

これらの投薬が行われるようになって以降、入院するほどの大きな喘息発作を経験することは明らかに減りました。乳児にステロイド吸入を使用できるようになったはじめのころを思い出すと、本当に劇的な変化だったと思います。


いまの状況からは想像しづらいのですが、20年ほど前までは、喘息は命取りになることがある病気だったのです。

 

次は「喘息の気がある」と言われるのはどういう状況なのか、という話をしたいと思います。個人的には、「喘息の気がある」という言い方はしないのですが、じゃあどう説明すれば良いのかというと、、、難しいと感じることが多いです。

インフルエンザとおたふくかぜのワクチン開始予定について

こんばんは。喘息の記事の続きは、次に回させていただきまして。

 

クリニックのWebページにも掲げましたが、10月16日(月)から、インフルエンザワクチンとおたふくかぜワクチンの接種を始める予定で、準備を進めています。

 

曜日は(月)(水)(金)で、時間は15時〜17時、完全予約制で、Web上から予約できるようにします。が、まだ予約できませんので、いましばらくお待ち下さい。

 

2017/9/29追記

 

10月4日(水)より、予約を開始させていただきます。

現在のところ、20日先まで予約が可能となっています。

ご家族につきましては、子どもに付き添われて来院されたご両親のみ、接種を受け付けさせていただきます。

高齢者を対象とした公費での接種はできません。

 

午後の時間帯以外での接種、とくに17時以降の接種をご希望される方が多いことは承知しております。まずこの時間での開始とし、段階的に検討させていただきます。

 

追記終わり

 

インフルエンザワクチン

6ヶ月以上が接種対象で、13歳未満は2回、13歳以上は1回の接種となります。2回接種の場合、その間隔は2〜4週間、できれば4週間隔が望ましいと思います。

 

小児科とは直接関係ありませんが、いつも申しあげているのは、「妊婦さんは積極的に接種をお勧めする対象である」ということです。妊婦さんは免疫能の低下した状態にあり、感染症重症化のリスクが高いのです。 インフルエンザワクチンのような不活化ワクチンは、妊娠の全期間において接種可能ですので、妊婦さんあるいは「妊娠の希望がある人」「パートナーやこども」も含めて、接種を検討して下さい。繰り返しますが、妊婦さんにはインフルエンザワクチン接種をおすすめします。

 

ご存知のように、インフルエンザワクチンの効果は完全ではありませんが、接種することにより、インフルエンザと診断される人が60%程度減ります。

 

私は60%というのはかなり有益だと思うのですが、感じ方は人それぞれ、です。日本では、軽症でも容易に迅速検査が行われるので、ワクチンによって症状が軽減していても診断はされやすく、効果を実感しづらいのかもしれません。

 

実際に私もインフルエンザワクチンを接種しながら、インフルエンザに罹って自宅内で1週間隔離されたこともあり、普段から感染防御を細かく言っている立場からすると結構カッコ悪い経験でした。

 

インフルエンザは多くは自然治癒する病気ですが、熱性けいれん、熱せん妄から、肺炎、脳症など、小児には、一度起きたら結果が重大な合併症があります。

 

乳児の場合、ワクチンによって感染を防ぐ効果が低い(成人の60%減にくらべて乳幼児では30%減)のではないかというデータもありますが、個人的には、感染率だけでなく入院・重症化を予防する効果を重視して、6ヶ月以上なら接種したほうがよいと考えています。

 

救急外来での診察で怖い思いを何度もした経験を思いますと、ワクチン接種により、インフルエンザに罹患して外来を訪れるこどもが少しでも減って欲しいと思います。

 

おたふくかぜワクチン

1歳以上が接種対象で、乳幼児期と年長さんの年度(通常、MRワクチンと同時)の2回接種が勧められています。


インフルエンザワクチンとおたふくかぜワクチンは同時に接種可能ですが、おたふくかぜワクチンは生ワクチンのため次の接種に4週間あける必要があります。インフルエンザワクチンの2回目のスケジュールに影響しますので、ご注意下さい。

 

また、当院の現状ではMRワクチンとの同時接種ができないことも、ご承知おきください。

 

おたふくかぜは、「かかってしまったほうが楽」などと言われたこともある感染症ですが、膵炎、精巣炎、髄膜炎などの合併症があるほか、小児科医として最も防ぎたいのは難聴です。先ごろ、報道でも話題になっていました。

 

 

おたふくかぜに罹患した人の数百人に1人が難聴になる(もう少し高率かもしれません)と言われていて、罹患してからこれを確実に回避する方法はありません。いつか無料化されたら水痘のように激減して、難聴の心配をすることも減るのに、、、と思っています。

 

その他のワクチン

その他の一般的なワクチンは、ほとんどが定期予防接種、つまり無料接種券のあるもので、これらは市からの委託を受けて実施させていただくものです。当院はまだ委託を受けられておらず、開始できる見込みが立っていません。

 

ときどき患者さんからも聞かれまして心苦しいのですが、開始時期は未定となっております。申し訳ありません。

気管支喘息ってどんな病気?(1)喘息発作の治療

こんにちは

 

9月に入り、RSウィルスの感染症が増えています。また、各種ウィルス感染症が増えてくると、咳が長引いたり、中には、この子は「喘息のケ(気)がありますね」、と言われるお子さんも出てくるでしょう。「喘息のケ」って何なんでしょうか。

 

その前に、「気管支喘息」そのものが、どういう状況なのかを説明させて下さい。最近気温が急に低下していますし、台風も来るでしょうから、気管支喘息の患者さんも増えるものと思います。

 

2017/9/25 追記 続きをかきました

気管支喘息ってどんな病気?(2)喘息の長期的な予防 - よしだこどもクリニックのブログ

2017/10/15 追記 続きを書きました

気管支喘息ってどんな病気?(3)「喘息のケ(気)がある」とは、どういうこと? - よしだこどもクリニックのブログ

追記終わり

気管支喘息の発作とはどんな状態?

 

気管支喘息の発作時には、

  • 呼吸時にゼイゼイと音がしたり、
  • 息を吐き出すことに時間がかかったり(ゼェェェーという呼気になる)、
  • それらをカバーするために呼吸回数が増えたり、
  • カバーしきれずに呼吸困難におちいったり、

します。

 

原因は、アレルギー性の炎症のために、急に気道が狭くなることです。


非常に簡単に説明すると、「気道の粘膜にじんましんができて、はなみず・鼻づまりが起きているような」イメージです。いかにも、呼吸がしづらそうでしょう?

 

どうして気管支喘息の発作が起きるの?

 

気管支喘息の原因は、ダニやホコリに対するアレルギー反応です。花粉を吸入してはなみず・鼻づまりがおきるのと同じ現象です。

 

通年性のアレルギー性鼻炎の患者さんは年中鼻が詰まっていますし、アトピー性皮膚炎の患者さんはいつも肌にかゆみがあります。

それと同じで、気管支喘息の患者さんの気管支粘膜はいつもすこし腫れていて、じくじくと炎症が続いています。

 

このような慢性的な炎症がつづいているところに、アレルゲンへの曝露、気候(とくに台風はよくない)、感染、タバコや線香などの煙、ストレス、等の原因が重なって、急に炎症が悪化して粘膜が腫れたり、気管支が潰れたりして空気が通らなくなり、喘息の発作になるのです。

 

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(杏林製薬様の冊子より、お借りしました。喘息患者さんは、平常時にも気管粘膜に炎症がつづいています)

 

気管支喘息の発作はどう治療するの?

 

これまで述べてきたとおり、気管支喘息の発作では、気管支の粘膜が腫れたり、気道が潰れたりして、呼吸ができなくなっています。

 

ですので、まずは気管支を拡げる薬、「気管支拡張薬」を使います。内服薬ではメプチン(プロカテロール)等で、これは素早く効くタイプ、貼付け薬や内服のホクナリン(ツロブテロール)はゆっくり長時間効くタイプの、気管支拡張薬です。

 

また、吸入する気管支拡張薬で気管支を拡げることもあります。小さなお子さんの場合、これを家で実施するために、吸入器を自宅用に購入していただくこともあります。

 

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(写真はオムロンの小型吸入器です)

 

さらに重症の場合(頻呼吸になり、酸素が体内に取り込めなくなっている場合)は、気管を広げるとともに、粘膜の腫れを抑える必要があります。このような場合はステロイドを内服するか、入院して点滴でステロイド薬を用います

 

内服や点滴のステロイド投与にはさまざまな副作用がありますが、だからこそ、繰り返し増悪しないように、必要なときは十分な量を投与する必要があります。副作用は、短期間の投与ではそれほど気にすることはありません。目の前の呼吸困難を治すことが最優先事項です。

 

ステロイドは吸入薬もあるのでは?と思われるかもしれません。予防については次の項に書く予定ですが、予防治療のための吸入のステロイド(パルミコート、フルタイド、キュバールなど)を喘息発作の時に臨時に用いても、あまり有効ではないというデータがあり、2017年時点では、発作時は内服または点滴のステロイドを用いるべきであるとされています。

 

以上が、「気管支喘息の発作が起きたとき」の治療です。

 

しかし、これだけでは気管支喘息を治療したことにはなりません。なぜなら、気管支喘息発作のダメージは肺に蓄積して、呼吸機能に悪影響をもたらすからです。


本当の治療には、「喘息発作が起きないようにするにはどうするか」を考える必要があるのです。

 

・・・

 

この項、長くなりましたので、つづきます。「喘息を予防する話」を次に、「喘息のケ」の話も、次か、その次にさせてください。

 

現在のような喘息の予防法がきちんと普及する前、といってもそんなに昔の話ではないのですが、喘息の患者さん方はとてもとても苦労し、そして時に命を落とされることもありました。

 

2017/9/25 追記 続きをかきました

気管支喘息ってどんな病気?(2)喘息の長期的な予防 - よしだこどもクリニックのブログ

追記終わり

 

 

当クリニックでのアレルギーの治療は?

こんばんは。

 

RSウィルス、これはと思う患者さんに検査をするとやはり陽性の方がいらっしゃいます。軽症の場合に焦ることはありませんが、油断もできません。感冒症状が数日長引いているなと思っていたら、そこから重症になってくることもあります。

 

 

 

さて、ときどき、「こちらではアレルギーの診療をしていますか?」と、質問されることがあります。

 

当院では、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、鼻炎・結膜炎の診療、管理、投薬をさせていただいております。

 

ただし、この説明をするときに、同時にお話していることが2つあります。

 

 

明らかに重篤なケースで、専門医の診療が望ましいと判断したら、専門医におまかせします

一つ目はこれです。

 

これは例えばどういう場合かというと、

  • 食物アレルギーで、経口チャレンジをするリスクが高いと思われるケース

→ アレルギー専門医の指導が望ましい、入院して経口負荷試験を行ったほうが良い場合があります。

  • 重篤なアトピー性皮膚炎のケース

→ 中ランクのステロイドをしっかりと用いても症状がコントロールできない場合は専門家におまかせします。

  • 重篤な鼻炎、結膜炎のケース

  等々です。

 

 

私に限らず、一般外来をしている小児科医の多くは、一通りのアレルギー疾患を一応の守備範囲にしているのではないかと思います。

 

しかし、アレルギー専門医にご紹介するタイミングを逸しないようにすることは、常に意識しています。アレルギー疾患にかぎらず、重篤な症例は専門家の手を借りつつ複数の目でみることが必要だと思います。

 

 

ガイドラインに則って治療を行います。

そして二つ目がこれです。

 

・・・これも時々ですが、「このクリニックでアレルギーの治療をする場合は、どんな治療法になりますか?」と聞かれたことが何度かありました。

 

「基本に忠実に」「ガイドラインに則った」治療をしますとお答えするのですが、ちょっとがっかりされたりしまして、そうすると私の方もちょっとがっかりしたりします。そして、ここの部分の私の考えを一言で説明するのが難しい時があります。

 

「基本」「ガイドラインに則った」というと、マグロで言うと赤身、寿司で言うと並、画一的な治療、というようなイメージがあるかもしれません。誤解される言葉だなあと思いつつ使っている私にも責任がありますが、抗がん剤の「標準治療」にも、同じような誤解されやすさがありますね。

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「基本」「標準」があるなら、「応用」「プレミアム」があるのでしょうか?残念ながらそうではありません。歴史の中で、海千山千の治療の中から本当に有効であるものを探しに探し、経験と研究によって効果と信頼性を評価しつくされた上で、現在のベストと考えられている治療法が、「基本」「標準」になるのです。

 

ですので、私の心づもりとしては、「現時点で最も信頼度の高いやり方で治療を選択します」という態度で診療を行っています。どういう場合にどう治療するのがベストなのかは研究されて常に進歩しますから、それを勉強し続けます。

 

逆に言いますと、「現時点で良いのか悪いのかわかっていない、信頼できない治療はしません」という意思表明でもあります。医師はやろうとすれば色々できてしまいますから、これは自分への戒めです。

 

 

「あまり知られてないけど実はこれがよく効くんです」ということは当院では多分、あまり、ありません。本当に良い治療であれば、それは評価されて標準になっているか、少なくとも発表されて皆に知られ、評価の途中であるはずです。

 

 

アレルギー疾患は慢性疾患です。治療をすれば割と早期に良くなることはよくありますが、治療からたちまちに解放されるということはありません。

 

色々な治療法を試される患者さんはいらっしゃいますし、謎の膏薬を用いる医者がもてはやされたりすることが、そしてその結果可哀想な経過を辿っている子どもをみて忸怩たる思いをすることが、現代日本でも、京都でも、まだまだあります。

 

私は、多くの小児科医がそうであるように、謎の膏薬は使いませんし、「現時点でベストだと評価されている治療」を、他の小児科医と同じように、実施します。

 

「どんな治療を」と聞かれる方にはがっかりされるかもしれないのですが、「基本に忠実」とはそういうことです。これを説明する時にいつも言葉足らずで申し訳ないな、と思っているのですが、そういうことなのです。

 

 

 

RSウィルス感染症について

こんばんは

 

手足口病やアデノウィルスなどの夏風邪が一段落して、小児科はオフシーズンですが、このところRSウィルス感染症のお子さんが何人か来院されています。

 

これは7月最終週のデータですが、山城北地域で7人の患者さんが報告されていたようですね(全数報告ではありません)。

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(画像は 京都府感染症情報センター|RSウイルス感染症 より。2017/8/6)

 

秋〜冬〜春に流行するウィルスなのですが、検査キットが普及した現在、こうして夏の間にもパラパラと患者さんを経験するようになってきました。毎年のことですが、これから秋にかけて増えてゆくのだと思います。

 

RSウィルスは、年長児や大人にとってはカゼのウィルスのひとつなのですが、乳幼児が感染すると分泌物が多くなりやすく、また喘息のようなゼイゼイ、ゼロゼロを引き起こしやすいです。酸素吸入が必要となったり、肺炎を引き起こしたりして、入院が必要となることも多々あります。

 

といっても、実は非常にありふれたウィルスで、乳児のうち半分は生後1年以内、ほぼ全員が2歳までに感染すると言われています。風邪症状があっても軽症で済んでいれば、わざわざ検査をして見つける必要はありません。診察させていただいてRSウィルスが疑われた時、何か重症になりそうなサインやハイリスク要因があれば、検査をおすすめしています(ただし保険適応なのは0歳児だけなので、それも難しいところです)。

 

 

RSウィルスの感染予防

RSウィルスにかぎらず一般的な風邪の予防策として、手を洗う習慣のほか、マスクをさせたりなどありますが、小さな子どもには難しいものがあります。

  • 風邪症状の子がいるときは兄弟と過ごす部屋を分ける
  • 親が頻繁に手を洗う、アルコール消毒をする
  • ティッシュをすぐに捨てる
  • テーブルを雑巾で拭く

というだけでも効果はあると思います。ただ、乳幼児の保育施設などでの流行を防ぐことはどうしても難しいと思います。

 

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RSウィルスの治療について

RSウィルスの増殖を直接抑える薬はありません。痰を切りやすくサラサラにする薬、腫れて狭くなった気管を拡げる薬、気道のアレルギー性炎症を抑える薬、などを用います。食塩水や気管を拡げる薬を吸入で使うこともあります。また、入院した場合は、酸素投与の他、ケースバイケースで喘息に準じてステロイドの点滴が行われるケースもあると思います。

 

RSウィルスの予防のための注射(ワクチンではありません)

生後半年以内のRSウィルスは重症化しやすく、とくに35週以前の早産、先天性心疾患、染色体異常のある乳児はハイリスクです。

 

重症化を防ぐための注射(ワクチンではありません)がありますが、保険が適応される対象者はちょっと複雑です。こうしたハイリスク要因のある方は最初から病院で把握され、対象者はすでに指導を受けておられると思います。かかりつけの病院の判断・指示に従って下さい。

 

注射の効果はだいたい1ヶ月、RSウィルスの流行期間、各病院によってちがいますが10月〜3月の間を目安に、毎月1回病院に行って注射をします(当クリニックでは扱っておりません)。

 

筋肉注射ですので大腿部に垂直に注射します。身体が大きくなってくると両足に注射、さらに折角病院にきてますから予防接種を複数本同じ日に注射することもあり、子どもにとっても大変な一日となりますが、RSウィルス重症化時の危険さを考えると、対象者は必ず注射していただきたいと思います。