よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです

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新型コロナの今後の方向性、当院での診断状況

こんにちは


そろそろ第8波突入か、と言われていますが、体感的には先週から突入した感じです。おそらく、そろそろデータに現れてくるはずです。


成人領域では、ワクチンの普及により、酸素吸入が必要な症例は減少してきていますが、総数は非常に多く、この8月にはかなり多くの方が亡くなりました。

2021年よりも2022年のほうが死者数がずっと多いのですが、そういうイメージを持っていらっしゃらない方も多いのではないでしょうか。




また、心臓・血管系や脳・神経系の後遺症が多く、これは心筋梗塞や脳梗塞の増加という形で、ヒトの寿命に影響を与えます。

2年くらい平均寿命が短縮するのではないかとの予測があります。これも、そういうイメージを持っていらっしゃらない方も多いでしょう。




コロナウイルス自体が恐ろしいウイルスである、というより、「成人になってから、なんらかのウイルスに初めて感染することは、大きなリスクを伴う」ということなのだと思います。

だからこそ、「初めて感染するのではなく、低リスクで感染した経験だけを得ておく」ために、ワクチンが重要であり、有効なのです。



いま、社会活動を徐々にもとに戻していく方針がなんとなく示されています。

経済活動は重要で、人の生死、幸福の大きな要素です。ですから、そのように方針を決定すること自体はよいことだと思います。

しかし、そのような決断を行う場合は、かならずリーダーがわかりやすい言葉で説明する必要があります(いわゆる、「リスク・コミュニケーション」です)。



「大きなリスク、この場合は死者数の増加を伴うが、われわれはそのような犠牲を伴ってでも、経済活動を元に戻してゆかなければならない、そのほうが幸せになる人が多いはずだと我々は判断した」というような、言葉が必要だと思います。

どのようなリスクをもって、現在の政策になっているのか、ということは、多くの人が知っておいたほうがよいことなのです。



今後、このウイルスが消えてしまうことはなさそうです。波は徐々に小さくなって定常状態になり、いつも存在するウイルスになっていきそうです。

その間に、多くの人が亡くなるでしょう。

私たちが風邪をひくように、このウイルスに一生感染しないということはありません。

その感染ができるだけ軽く、後遺症を残さず、他人に感染させにくいようにするためには、準備が必要ですし、変更された生活の一部を今後も続ける必要があります。



他人と密接する空間ではマスクをしたほうが良いでしょう。

ワクチンは子どもでも乳児でも、接種しておいたほうが良いですし、今後もインフルエンザワクチンのように継続されてゆくものになると思います。


当院での新型コロナウイルス感染症 診断件数

初夏に一息つきましたが、7月8月の波は非常に大きく、3月を大きく上回りました。

このような状況でも医療が何とか踏みとどまれたのは(踏みとどまれなかった地域もありますが)、ワクチン3回、4回接種者が増えたことと、検査キットによる自己診断がなんとか間に合ったことが理由だと思います。



また、当院の診断件数と京田辺市の診断件数を比較すると以下の通りでした。

当院 京田辺市
1月 63 -
2月 181 -
3月 160 1194
4月 121 862
5月 48 606
6月 27 317
7月 266 2462
8月 275 3601
9月 127 -

(9月は26日まで)

当院にはほかの自治体の方も来られますので、診断件数のうち京田辺市の方は8-9割です。京田辺市の感染者の10分の1を当院で診断した計算になります。



8月以降は夏季休暇中に検査キットを配布したこともあり、多くの方が検査キットを使用して自宅で検査されているので、その分当院での診断数が減少しました。

検査キットの普及は、医療機関への負荷を減らしたと考えています。

危機はまだ去らず、静かに何年も続きます

小児でも、乳幼児でも、新型コロナウイルスワクチンの接種を推奨します。

また、成人の方も、オミクロン株対応ワクチンの接種をお願いします。

現在、とくに働いている方の接種が難しい状況になっていますが、まだ危機が去ったわけではないことは、頭に入れておいていただきたいと思います。