こんにちは。
子どもが無料で受けられる予防接種は、たった10年前と比べてもずいぶん進歩しました。ヒブ、肺炎球菌、水痘、B型肝炎、HPVと、多くの予防接種が負担なしで摂取できるようになり、重症感染症は激減しましたし、今後この世代以降は癌患者も減っていくでしょう。
我々小児科医も細菌性髄膜炎で怖い思いをすることがぐっと減りました。ヒブワクチンも肺炎球菌ワクチンも無い状況って、今からでは想像することもできません。
任意接種のワクチンの接種率は?
さて、そんな中でもまだ無償で接種できないワクチンもあるのですが、代表的なものがロタワクチンとおたふくかぜワクチンです。
ロタワクチンは、ロタウィルスによる嘔吐下痢症の重症化を予防します。小さいうちにほぼ必ず感染し、かなり辛い思いをするだけでなく、家族への感染、看護のための休暇、などを考えると価格を大きく上回る効果がある、、、と私は思いますが、それでも、合計3万円弱という金額は躊躇させられるものがあるのも事実です。
おたふくかぜは、感染した人のうち400人〜1000人に一人が難聴になるというデータが出ており、かなりインパクトの強い感染症なのですが、どうも軽症のイメージがあるのか、「小さいうちに感染すればいい」というようなことも言われまして、小児科医としては、「その1回の感染で後悔する人がいるのに」と思わざるを得ません。
これらのワクチンの接種率は、地域差もあり、大規模な公式データはないのですが、ロタは50〜60%、おたふくかぜは40〜50%くらいと言われています。
そこで、当院ではどれくらいの接種率なのかを、2018年4月〜10月の接種データから計算して推測してみました。
当院での接種率
まず、ロタワクチン(当院はロタリックス®を採用しているので、2回接種です)の接種回数を、ほぼ同時に接種されているであろう、ヒブワクチン1回目と2回目の接種回数と比較してみました。
ロタ回数 / ヒブ回数 = 84.5%
当院に受診される方々は、かなり積極的にロタワクチンを接種されているようです。
次に、おたふくかぜワクチンの接種回数を、これも1歳児がほぼ全員接種しているであろうMR(麻疹風疹)ワクチンの接種回数と比較してみます。
おたふく1回目 / MR1回目 = 125.4%
おたふく2回目 / MR2回目 = 121.7%
なんと、MRよりもおたふくかぜのほうが接種回数が多いです。おそらく、これまでMRだけ接種しておたふくかぜワクチンを接種していなかった方が、あとになってから当院でおたふくかぜワクチンを接種していただいている、ということなのでしょう。
と、いうわけで、当院に受診されている方々のロタ・おたふくかぜワクチン接種率は、平均と比べてとても高い、ということが分かりました。
両ワクチンの接種を迷われている、という方に、ご参考になれば幸いです。