こんにちは。
高熱の患者さんが多いです。全例は検査していませんが、多くの患者さんは流行しているアデノウィルスではないかと考えています。
もう一つ、おたふくかぜの患者さんもいらっしゃいます。流行している保育園があるようです。
おたふくかぜは比較的日常的な病気で、自然に治癒することが多いので、その怖さが忘れられているような気もします。
しかし、50人に1人という高率で髄膜炎を起こすことと、なにより、後遺症としての難聴のリスクが高いことは、強調しておきたいと思います。
難聴は、昔は数万人に1人くらいかと考えられていましたが、しっかり調査すると非常に多いということがわかってきました。私は最近のデータを踏まえて「数百人に1人は難聴になる」と説明しています。
学会発表レベルですが、2018年5月の感染症・化学療法学会では、282人に1人が難聴、というショッキングなデータがでていました。
おたふくかぜで難聴282人に1人 小児科医ら調査:朝日新聞デジタル
世間で一般に思われているよりも、ずっと高率なのではないでしょうか。もっとしっかりと予防を強調していかなければならないと思っています。
うつしてもらいに行かないで
ところで、あまり良くない話を複数の保護者さんからお聞きしました。水疱瘡やおたふくかぜの患者さんがいらっしゃったら、うつしてもらいに行くようなことが、まだ行われている、ということです。
「免疫をつけたい」と思ってうつしてもらいに行くのでしょうが、その最初の1回に後遺症の可能性があるのです。後遺症のリスクを負って免疫をつけに行くなんて、なんのための免疫かわからなくなってしまいますね。
これでは、上記の282分の1の確率で難聴になるロシアンルーレットを子どもにさせているようなものですし、さらに、自分の子どもから、周りにいる子どもたちにも感染と後遺症のリスクを与えることにもなります。
おたふくかぜのワクチンはまだ任意接種で費用がかかり、接種率が低いことが問題です。しかし、後遺症リスクを下げるためにも、小児科医としては接種率が上がること、将来的には定期接種に(再び)含まれることを願っています。
小児科学会をふくむ関連学会は、定期接種化を国に要望しています。難聴リスクがかなり高いことがわかってきましたので、方針も変わるのではないかと期待しています。
おたふく定期接種を要望 学会など厚労省に 「重い合併症を減らせる」 - 産経ニュース