こんばんは
7月16日・17日と、東京にて「『子どもの心』研修会(後期)」に参加してきました。
子どもの心、というとイメージが抽象的ですが、「健康な子どもの心の発達」「自閉スペクトラムやADHDなどの発達障害」「マルトリートメント(虐待)」など、テーマは多岐にわたりました。
16日は発達障害について、お話を聞きました(発達障害というのは「ある」「なし」で分けられるものではなく、誰でも程度の差はあれ持っているものです)。
私はこういう言い方をこれまではしたことがなかったのですが、「年齢に従ってかならず改善方向に向かう」という言葉は大切だと思いました。確かにそうです。もちろん、個人差がとても大きいので、一人一人個別に評価する必要があること、早期の発見、早期に適切な機関に紹介し、対応することがとても大切であることを改めて学びました。
発達障害の診断は安易に行えるものではありませんが、一番初めに対応する者の一人として、専門機関との連携を忠実に行ってゆこうと思います。
17日のテーマは、マルトリートメント(虐待)の話が中心でした。演者の先生は皆様現場で体を張って戦っている方ばかりです。
「マルトリートメント(虐待)」を受けた子どもは、安心して生活をしたことがない、自分に自信をもった経験がない、拒否して良いことも、逃げて良いことも、逃げる場所も知らない、大人に助けてもらった経験もない。彼らに「死にたい」なんて言わせずに、よりよい人生を生きてもらうために、無力な私たちは何ができるのか」と、「カリヨン子どもセンター」理事長の坪井弁護士は熱く語られました。彼らの施設に逃げ込んでくる子どもは、女の子のほうが多いそうです!
「非行少年に厳罰化が有効だとおもっている大人は、彼らの多くが虐待を経験してきているという現実を知らなさ過ぎる」ともおっしゃっておられました。
また、福井大学の友田先生は、虐待が実際に脳の発育に影響をもたらすという、明確な研究結果を示されました。もし虐待がなくなったら、精神疾患やアルコール・薬物依存が3/4以上減少するであろうというスライド、かなり衝撃的な数字でした。
健やか親子21(第二次)では「愛の鞭ゼロ作戦」が始まっています。
体罰だけでなく、大きな声で叱ることや、夫婦間のDVを目撃することも、子供の脳に影響を与えます。
私はこういった方面の専門家として働いてきたわけではありませんが、小児科医として仕事をしていれば必ず直面するテーマです。クリニックでの診察でも、できるだけ適切な対応が取れるようにと思っています。