よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです(2017年6月1日開院)

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インフルエンザワクチンの件と、タミフルの件

こんにちは

 

インフルエンザワクチンの納入遅延につき、予約いただいた方の接種を一部延期させていただき、新規予約の受け付けも停止しております。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

 

2017/12/8(金)にご予約頂いた分以降は、予定通り接種が可能となる見込みですが、不確実な要素もありますので、まだ予約の再開はしておりません。追ってWeb上でご報告いたします。

  

タミフルで異常行動の話は、その後どうなったか


さて、インフルエンザと言えば、治療薬のひとつタミフルが異常行動を誘発するのではないかと疑われ、現在も10歳代の方には処方を控える状況が続いています。先日、昨年度の調査結果が報道されたので、思い出された方も多いでしょう。

 

私達が小さな子どもに処方するときも、「こわい薬」と言われたり、異常行動を心配されるご家族がよくいらっしゃいます。

 

実は私自身も子供のころ、(たぶん)インフルエンザに罹って、何故か無性に哀しくなり、謎の壮大な涙を流した記憶があります。翌日にはサッパリ消えましたが。そのころ、タミフルなんてなかったですよね。


この話は騒がれた割に、最初から確かな証拠はありません。データを蓄積してみると、薬を使用しなくても異常行動はあり、タミフルでも他の薬を使用した場合でも、使用したほうが重度の異常行動は減少する、ということが分かってきました。異常行動は、インフルエンザ自体の症状の一つなのです。

 

 

下記は、厚生労働省研究班による調査結果です(2010/2011シーズン〜2013/2014シーズン)。数字は100万人あたりの発症率。

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平成27年度日本医療研究開発機構委託事業(医薬品等規制調和・評価研究事業)
「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究」よりグラフ作成

 

軽度の「異常行動・言動」も含めると、インフルエンザ患者の10〜20%に発生するのですが、意外に高率なのに驚かれるかもしれません。投薬がある方が少ないとはいえ、投薬すれば異常行動がなくなってしまうわけではないので注意が必要です。

 

 

先日の報道は、厚生労働省から昨年度の調査結果と注意喚起がなされたことを知らせるものだったのですが、内容と異なりタミフルと異常行動に関連があるような報道を行った機関があり、一騒ぎとなりました(朝日新聞のほうは後に修正されました)。

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薬害が強く疑われれば対応が必要なのはもちろんです。しかし、タミフルに限らず、抗がん剤のイレッサやHPVワクチンのことも、同じ人達が中心となって薬害を訴えておられまして、証拠が精査される前から、このような方々の主張に沿ったイメージ戦略的な報道があるのは、社会的には損失であり、気にかかるところです。。。

 

異常行動に対応するために

 

というわけで、インフルエンザの患者さんは、投薬のあるなしにかかわらず、異常行動に気をつける必要があります。

 

異常行動は、9割が発熱後2日目までに発生します

・インフルエンザに罹患した子どもさんは、できるだけ一人にしない

・玄関や窓の施錠を確認する

・戸建住宅なら1階で寝かせる

などといった注意点がありますので、診断した患者さんにはお伝えしようと思います。

 

異常行動と関係ないなら、タミフルはどんどん使えばよいのか?


では、タミフルを含めて、インフルエンザに投薬はどんどん行って良いのかというと、そういうことでもありません。

 

重症化のリスクが高い方(乳幼児、高齢者、妊婦、慢性疾患(喘息、糖尿病、腎疾患など))には治療に積極的になりますが、健康成人の治療に必要かどうかは、ケースバイケースです。

 

個人的にはこれまで、小学生以上の患者さんに対しては、希望をお聞きしつつ、軽症例には処方しないこともある、というスタンスで治療を行ってきました。3歳以下であれば重症化のハイリスクとして、積極的な投与対象としています(0歳児へのタミフル投与も公に認められています)

 

次回は、インフルエンザの治療に関してよく聞かれるあれこれを、まとめようと思います。