よしだこどもクリニックのブログ

京田辺市三山木駅前 小児科医院のブログです(2017年6月1日開院)

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インフルエンザワクチン新規予約停止の件と、保存剤チメロサールの件

こんばんは


報道にもあるとおり、全国的にインフルエンザワクチンの生産が遅れています。当院でも、納入できそうな分しかご予約いただかないようにしておりましたが、供給不足が顕著となったため、本日より、予防接種の新規受付を停止いたします。ご迷惑をおかけいたしますが何卒ご了承下さい。

 

既にご予約いただいている分については、今のところ確保できる見込みですが、予断を許さない状況です。遅延が見込まれる場合は、改めて当院よりご連絡いたします。

 

ワクチンに含まれる保存剤とは?

さて、最近、診察の際やお電話などで数回、当院のインフルエンザワクチンがチメロサールフリーかどうかを確認されました。


チメロサールは、一部のワクチンに保存剤として添加されている水銀化合物です。現在日本で日常的に接種されているワクチンのなかで、チメロサールを含むのは一部のインフルエンザワクチンと一部のB型肝炎ワクチンのはずです。

 

かつて、チメロサールにある種の害があるのではないかと疑われたことがあるので、確認を頂く方は、そのために念のため確認されるのでしょう。


結論を申しますと、当院では、チメロサールの有無を患者さんに指定して頂くことは行っていません。チメロサールによって、何らかの影響がでたという調査結果はなく、疑いは既に否定されているからです。

 

乳児でも、妊婦さんでも、授乳中でも、普通のインフルエンザワクチンを接種していただいて問題ありません。

 

また、含まれるチメロサールはメーカーの努力により以前の1/10以下となり、許容量を大幅に下回っています。マグロの刺身のほうが遥かに多くの水銀を含有しています。

 

どうしてチメロサールが問題とされたのか?

1990年代〜2000年前後にかけて、ワクチンに含まれる水銀は有害なのではないか、とりわけ、自閉と関連があるのではないか、という主張がなされたことがありました。

 

この仮説は、水銀中毒と自閉スペクトラム症の症状が類似している、ということ(だけ)が根拠だったのですが、この時点ではデータが不十分であったので肯定も否定もなされず、ワクチンに含まれるチメロサールはできるだけなくしてゆく方針がとられました。

 

その後、チメロサールと自閉の関係は、調査により否定されました。ワクチンそのものも、ワクチンに含まれる水銀も、自閉とは無関係です。これが2000年代前半のことです。

 

残念ながら、この説は現在に至るまで都市伝説のように生き残っています。悪名高い某反ワクチン論者がこの説にとびついたこともありました。とくに、妊婦さんや小さな子どもさんに対しての接種に、不安をもたれる方がいらっしゃいます。

 

当院の考え方

私は、不安に思われる事自体は、自然なことだと思います。このような話を聞いたら、頭では分かっていても気分的に嫌なイメージを持ってしまうのは、当然のことです。

 

現在でも、チメロサールフリーのワクチンを選択的に提供しているクリニックもあるそうです。それもまた、そのような立場があることは理解いたします。

 

ただ、私の個人的な考え方としては、すでに否定された主張により不安を持たれる方に対して、不安に万事沿って対応するよりも、不安に思う必要がないことを繰り返してお話しすることのほうが、医療従事者として正しいあり方のように思っています(これもケースバイケースではありますが)。 

 

結論

妊婦さんでも、授乳中でも、乳児でも、どのようなインフルエンザワクチンを接種しても問題ありません。現在のワクチンに含まれるチメロサールは極微量です。それによって、自閉を含む何らかの影響がでたという調査結果はありません。

 

妊婦さんや授乳婦さんは、ワクチンに含まれる水銀よりも、魚介類から水銀を摂取しすぎないようにに気をつけてください。

 

参考

有機水銀を含まないチメロサールフリーのインフルエンザワクチン 2017年生産動向と妊婦・胎児への影響

横浜市衛生研究所:チメロサールとワクチンについて